第2日 〜2007.11.24(土)〜

恵山登山口→大沼公園

2.恵山登山口8:08→8:16日ノ浜団地(函館バス)240円 函館200か・347 日野
恵山登山口の函館バス なぜか新潟交通のシート  バス停で待っていると、街頭スピーカーからなにやら連絡が流れているが、よくわからない。目の前に軽トラが停まり、運転していたおじいさんが「今、何言っておったか」とたずねる。実は何を言っていたのかは、よくわからなかった。「いやぁ、よくわからなかったですよ」と言うと、そのまま走り去っていった。
 やがて、昨日とは違う市内線用と同じ銀色塗色の前中ドアのバスがやってきた。長距離用の前ドア車だけではなく、2ドア車も走っているんだと、ちょっとガッカリして乗り込んだ。ところが車内は、都市部を走るバスとは全く違っていた。
 座席はなんとリクライニングシート。一部の座席には、小さなフットレストまでついている。枕カバーは付いていないが、それを留めるマジックテープがある。
 何よりびっくりしたのは、シートにHighway Expressの文字があったこと。これって、高速バスに使われていたのだろうか。いや、函館バスに高速バスはないはずだ。座面を見ればNiigata kotsuの文字が。これって新潟交通の座席じゃないか。
 いったいこれはどういうことなのか。後日、詳しい方に教えてもらったのは、元函館市営バスだった車両だとのこと。函館バス移籍時に、高速バスの中古座席に交換されたらしい。
 昨日、薄暗くなってから走った道を戻っていく。県道を右折して国道に入り、恵山支所の先が日ノ浜団地バス停。ここが、恵山御崎方面と椴法華方面の乗り継ぎ地点になっている。もう使われていないのか、扉の閉まった大きな車庫の前の広場が日ノ浜団地バス停になっていた。
 こんな変わったバスならもう少し乗っていたいのだが、ここまでわずか8分。名残惜しいが、ここでバスを乗り換えなければならない。
車内風景
3.日ノ浜団地8:34→8:46椴法華支所前(函館バス)390円 函館200か・131 日野(ワンステ)
リクライニングシートのワンステップ 日ノ浜団地バス停  バスが6台は収納できそうな大きな建物の前の広場には、すでに椴法華の行き先を出したバスが停まっていた。
 ここは函館、恵山御崎、椴法華の3方向のバスの乗り換え停留所になっている。函館〜恵山御崎と日ノ浜団地〜椴法華という系統に分かれることが多い。今朝もこのパターン。この後、函館からの恵山御崎行きが来るまで発車はしない。
 こちらが降りたから、乗り継ぐのだろうとすぐにドアを開けてくれたのだが、こちらは写真を撮りたいから歩き回る。運転士さんは、いったんドアを閉めてしまった。こちらは、そのドアが閉まったバスをゆっくり撮影させてもらった。
 撮影も一段落して、運転士さんに声をかけてドアを開けてもらう。中に入って、これまたビックリ。ワンステップバスなのだが、車いす用の折りたたみ席など一部を除いて、枕カバーがついたリクライニングシートが並んでいるのだ。窓の脇には、レースのカーテンが下がっている。
 函館バスは、長距離路線はリクライニングシートでと考えているのだろう。とにかく、外観と座席が今までの知識とは違ったバスに、今朝から2回も巡り会っている。
 やがて、函館からのバスが到着し、中年の女性が1人乗り継いできた。それを待って日ノ浜団地バス停を発車する。バスは、国道278号線を走り、それほど高くない峠を越えて旧恵山町から旧椴法華村へと入っていく。
 途中での乗降は全くない。それもそのはず、人家らしきものは途中全くみられなかった。緩い坂道を下って、人家が見えてきたと思ったら、そこが椴法華の集落だった。日ノ浜団地から、わずか10分ほどだった。
リクライニングシートが並ぶ
椴法華の海岸
椴法華の海岸
 椴法華に来たからには、ここから4kmほど東の灯台近くにある水無海浜温泉へ行きたい。これは海にある温泉で、干潮時しか入浴できないという。ウェブサイトで調べると、今日は9:30まで入浴可になっている。
 もとより路線バスがないのはわかっている。4kmだからタクシーでもそれほどの額ではない。ところが、タクシーが見あたらない。旧村役場もある椴法華の中心地なのだが。役場の宿直の人に聞いてみると「椴法華にタクシーはない」とのこと。
 これはもう、あきらめるほかない。しかたなく海岸まで歩き、海を見渡す。右側へずっと行ったところが恵山岬灯台と水無海浜温泉がある方角だ。
4.椴法華支所前11:03→11:38南茅部支所前(函館バス)910円 函館22か・592 日デ/富士重工
椴法華支所前の函館バス 右手に海を見て走っていく  やがて雨がぽつぽつと落ちてきた。海岸歩きは止めて、支所前にあるバスの待合室に逃げ込む。まだバスまでは1時間半以上あるが、この天気ではどうしようもない。乗車メモをまとめたりして時間を過ごす。
 そのうち川汲経由の函館行きがやってきた。どうも見覚えがあるバスと、メモを調べれば、昨日函館駅から恵山登山口まで乗ったのと同じバスだった。
 発車数分前になってドアが開き乗り込む。地元の方が自家用車で送られてきて、このバスに乗り込んできた。結局、乗客は自分を含めて2人だけだった。
 椴法華を出たバスは、右に太平洋を見ながら国道278号線を走っていく。ところどころ、山が海まで迫っていて、そんなところだけはトンネルになっている。地形に沿って走る道で直線部分は少なく、海岸線に沿って右へ左へと緩いカーブが続く。
 晴れてはいないものの、いつしか雨は上がったようだ。天気がよければ、また違った雰囲気の景色になるのだろう。11月下旬、どんよりした曇りの風景の中を、バスはたんたんと走っていく。
 やがてバスは左折して、海岸沿いの道を離れる。緩い坂道を上ったところが、南茅部支所前だった。ここもバスの乗り継ぎ地点になっていた。
バスのサボ
5.南茅部支所前11:44→12:19鹿部出張所(函館バス)840円 函館200か・383 日デ/富士重工
南茅部支所前の函館バス リクライニングシートが並ぶ  乗り換え案内が流れて、南茅部支所前でバスを降りた。すぐ後ろに、古部行きのバスが停まった。これかなと運転士さんに「鹿部へ行くのはこれでいいですか」とたずねると、もう1つ後ろだという。屋根のない路上に3本目のポールが立っていて、そこが鹿部方面の乗り場だった。
 しばらくして、銀色塗色のバスがやってきた。市内線と同じ塗色なので、普通の路線バスが来たのかと中ドアから乗り込むと、またもやズラリとリクライニングシートが並んでいた。もう3回目だ、驚かないぞ。
 バスは、再び右手に太平洋を見ながら国道278号線を走っていく。先ほどと同様、地形に沿って右に左にと緩いカーブが続く。山が迫っているところは、トンネルや覆道になっている。
 運転席の脇に発泡スチロールの容器が積んである。いったいなんだろうと気になっていたのだが、とあるバス停に降車ボタンが押されていないのに停車した。
 そこには、白い上っ張りを着た人が待っていた。バス停の向かい側は寿司屋さんのようだ。どうやら、仕入れの品の配送に路線バスが使われているのだろう。
 いつしか、車内の乗客は自分だけになってしまった。運転士さんから声がかかる。鹿部から大沼公園へ行くと言うと、このバスが一休みしてそのバスになると言う。これまでの経路を聞かれて、今朝は石田温泉から乗ったというと、温泉の感想なども聞かれた。
 やがて鹿部の街中に入る。コンビニは街外れにあるだけ。商店街にはなっているのだが、食堂が見あたらない。そんな商店街の途中を左に入ったところが函館バスの鹿部出張所だった。
海岸線を行く
6.鹿部出張所12:55→13:29大沼公園(函館バス)620円 函館200か・383 日デ/富士重工
鹿部出張所の函館バス 鹿部営業所時代のスタンプ  近くに食堂でもあれば昼食をと思っていたのだが、手頃な店がみつからない。しかたなくパンや雑貨を扱う商店街のお店屋さんといった雰囲気のお店で、菓子パンをいくつか買ってきて待合室へ戻ってきた。
 ここは元は鹿部営業所。今は出張所になってしまったが、車庫の脇には待合室と出札窓口があった。窓口には、営業所時代の記念スタンプが置いてあった。今となっては、このスタンプを押す人がどれほどいるのだろうか。ちょっと擦れたスタンプには、カールス君というキャラクターが描かれていた。
 鹿部町のキャラクターなんだそうで、活火山の駒ヶ岳から吹き飛んできた軽石からイメージされたものだとか。
 先ほどの運転士さんが「もう乗っていていいですよ」と声をかけてくれた。それではと早めに車内に入って、せっかくだから記念撮影。最後列はリクライニングシートでなくベンチシート。同じように見えても、戸袋のある前半分の通路はかなり狭くなっているのがわかった。
 鹿部町役場前を過ぎると、海とはお別れ。左折して大沼を目指す。晴れていれば右手に駒ヶ岳が見えるのだろうけれども、今日は厚い雲に覆われている。ずっと貸切だったのだが、大沼が近づいて地元の方が1人乗ってきた。
 バスは大沼駅前に出る。ここで地元の方が降りてしまい、再び貸し切りに。ここから大沼公園までは、枝線の往復になる。駅前とは付かないものの大沼公園バス停は駅前だった。
リクライニングシートが並ぶ車内
7.湖畔桟橋14:20→14:50湖畔桟橋(大沼合同遊船)960円 第二おおぬま
乗船券 乗船した第二おおぬま  駅によって用事を済ませてから湖畔へ向かう。タイミング悪く13:40の遊覧船がちょうど出たばかり。それでも40分毎の運行をしているとのことで、次の出航は14:20。11月下旬でも遊覧船が運航されていて、それも30分間隔とはさすが道南の観光地だ。
 出航までの間、近くの小島を巡る遊歩道を歩いてくる。といっても、雪が積もっているところが多いから、それほど遠くまで行けるわけではない。橋でつながっている小島へ渡って、湖水のすぐそばまで行くと、海ではないけれども風に吹かれて波立つ水の音が耳に入ってくる。
 そろそろ時間と、雪道で転ばないように慎重に桟橋へ向かう。先ほど買った乗船券の半券を切り取ってもらって、船の後部から乗船する。乗船した後部は、展望デッキになっているようで、寒くてもいいなら外から眺めることもできるようだ。さすがに、この寒さ。船室に入る。
 路線バスは空いていたけれども、遊覧船はこの時期にしてはけっこういい乗車率ではないだろうか。1/3くらいの座席は埋まっている。家族連れや団体さんがほとんどで、個人旅行は自分くらいのようだ。
 出航すると、駒ヶ岳の話や大沼の解説が流れる。そんな解説を聞きながら、大沼の風景を眺める。一瞬でもいいから駒ヶ岳が姿を見せてくれたらというのは、かなわぬことだった。それでも、木の葉もすっかり落ちて、島の形がしっかりわかる、土の黒と雪の白に彩られたモノトーンの風景もなかなかのものだった。
 やがて船は、道路とJRの鉄橋の下をくぐっていく。そうか、ここを通るから、こんなに平たい船だったのだ。そして、その先は小沼。大沼の遊覧船というから大沼だけだと思っていたのだが、なんと小沼にまで足を伸ばすのだった。
 ただ、解説によると小沼は藻が多くてあまり奥までは入れないのだとか。たしかに、小沼に入って近くをぐるっと一回転しただけで、再び鉄橋へと戻っていった。すると、そのとき線路に列車がやってくる音がする。カメラを構えるよりも早く、183系のディーゼル特急が走り去っていった。後でわかったことだが「スーパー北斗」に車両故障があって、函館にいた183系を急遽仕立てた代走特急だったのだ。道理で塗色がバラバラだったわけだ。撮り逃がしたのは痛かった。
 せっかくだから、ちょっとだけ後部の展望デッキに出てみる。どうも船室のガラス越しではうまく写真が撮れない。思ったほど寒くはなく、接岸直前まで大沼の風景を後部デッキで眺めていった。出航からちょうど30分で桟橋に戻ってきた。
船上からの風景
小沼にも入っていく
大沼ビール:ブロイハウス大沼
大沼ビール 大沼ビール  大沼に来たら、やっぱり大沼ビールを飲まなくちゃ。おいしいと評判の地ビールなのだけれども、どちらかというと瓶詰めの販売が中心。湖畔にちかい「ブロイハウス大沼」で飲むことはできるのだが、営業時間が9:00〜16:00と完全に観光客の時間に合わせてある。
 ビアパブで夕食というのが好みのパターンなのだが、ここは夜の営業は無し。メニューもビールの他は、簡単なつまみ類しかなかった。ビールは左から飲んだ順に、アルト、インディアン・ペールエール、ケルシュ。ここでは、アルトが一番好みに合っていたな。
 それで、頼んだつまみが北海道の珍味。さきイカをイカスミで和えたの。サケとば。それに鱈。サケとばって、堅いけどかめばかむほど味がしみ出ておいしいんだね。初めて食べました。
 16:00の閉店ぎりぎりまで、約1時間ほどおいしいビールとおつまみを楽しんで、今回のバス旅第1回を終わりにしたのでした。
鮭トバやイカスミ

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