第10日 〜2006.6.11(日)〜

中条駅前→勝木駅前

53.中条駅前9:42→10:19坂町駅前(新潟交通北)590円 新潟22か13−62 三菱
中条駅前の新潟交通北 沿線風景  今日は中条駅前から、バス旅を再開する。まずは、中条営業所始発の坂町病院行きに乗車する。やってきたのは、観光塗色の小型のバス。運転席下には「新交北貸切」と、分社化当時の社名が入っている。今の会社名は、新潟交通北のはずなのだが。
 米どころ新潟を走っているのだが、けっこうこの時期目立っていたのが麦畑。まだ色はクリーム色といったところ。麦秋までは、まだちょっとあるのだが、緑の水田のなかに、一面クリーム色が広がっているのは、けっこう目立つ存在だった。
 運転士さんが「日曜のこの便はまずお客はない」という通り、いつまでたっても誰も乗ってこない。菅田という集落では、家が道路まで迫っていて、道幅も狭まり制限速度も30キロという標識が立っていた。でも、そのくらいで驚いてはいけなかったのだ。交差点を左折して、乙宝寺へ向かう道がなんと狭いことか。国指定重要文化財の三重塔がある古刹で、駐車場にはマイクロバスも停まっている。
 そして、乙宝寺の前で右折して、少し道が広くなるものの、桃崎浜の集落の中がまた狭い。えっ、行き止まりじゃないのと思ったところを右折した、海老江へ向かう道がこのバスでの道幅一杯の狭隘路だった。人が立っていても、もう進むことはできないだろう。しかも、右に左にカーブが続く。正直、手に汗握ってしまった。金屋という集落で、ようやく道が広くなってホッとしたのだった。
 2009年3月31日限りで路線廃止。胎内市内、村上市内部分のみ別路線として存続。
狭隘路
54.坂町駅前10:58→11:15大島(新潟交通北)330円 新潟22か・785 日デ/富士重工
坂町駅前の新潟交通北  ここから荒川を越えて村上に行く路線はない。荒川沿いに下関まで行くと村上への路線が走っている。そこで、荒川沿いに東へ向かう、下関営業所行きに乗る。
 ほぼ国道113号線を走るのだが、荒島を過ぎると、わずかな区間だけ左側の集落に入っていった。そして花立からまた国道へ戻っていった。
 このまま下関まで行っても、日曜日なので村上行きは15時近くまでない。そこで途中の大島で降りることにした。ここからなら、別路線で寄り道できるということもあるが、坂町がある荒川町(現在は村上市の一部)と下関がある関川村の境、鍬江沢川に架かる橋の名が『切手橋』というのだそうだ。
 もう一つの趣味の関係から、「切手」とか「郵便」などという地名に、ひどく反応してしまうのだ。そんなこともあって、せっかくだからその『切手橋』をじっくり見てやろうというのが、大島下車の本当の理由だったのだ。
 荒川町から関川村の町村境を越えて、すぐに渡った橋が切手橋だった。その橋を渡ってしばらく行ったコンビニの前に大島バス停があった。
寄り道  切手橋
切手橋 切手橋  大島バス停から、国道の歩道を歩いて10分もかからずに切手橋に到着した。何のことはない、橋自体はちょっとカーブした普通の橋だ。橋についているプレートによれば『きってはし』と濁らずに読むようだ。
 それでは、この辺りの地名が切手かといえば、そうではないようだ。橋の見学にそれほど時間はかからなかった。その後は、歩いてJR米坂線越後大島駅まで行ってみる。すると駅近くにあったJAの建物に『霧出』という文字があったが、この辺りを霧出郷というのだそうだ。何でも、この霧出(きりで)が転じて切手になったということらしい。
 もっと時間がかかるかと思った切手橋訪問だったが、JRの駅まで足を伸ばして見学しても、それほど時間がかからずに終わってしまった。12時半頃の、山本経由下関営業所行きに乗るつもりだったのだが、時間がありすぎる。乗車予定のバスの反対側の終点、上野行きにも十分間に合う時間だ。
 ということで、先ほどのバス停から交差点を曲がったところに立っている上野方面のバス停で、バスを待つことにした。
切手橋
55.大島11:54→12:15上野(新潟交通北)360円 新潟22か・785 日デ/富士重工
大島の新潟交通北 大島バス停  やってきたのは、先ほどと車両も運転士さんも同じバス。1台のバスがいろいろな路線をいったり来たりしているのだろう。
 乗客は4人ほど。日曜の昼間にしては、けっこう乗っているというのが印象だ。国道113号線から国道290号線に入り、結構長い橋で荒川を渡っていく。女川という集落は、このあと下関から村上へ行くバスでも通るところだ。その女川の集落を抜けると、女川橋を渡って右折する。ここから先で、下車が続いていく。自分以外の最後の乗客が降りたとき、運転士さんに「終点まで乗りますので」と声をかけておく。
 やがて、終点の上野に到着。運転士さんから「ちょっと待って」と声がかかる。ここは、T字路使っての方向転換。バックして停車位置を整えたところで下車となった。
 坂町から大島までに比べると、時間も長く乗ったのだが運賃は360円と安い。関川村内だけを走る路線なので村の補助があるのだろう。
56.上野12:17→12:51下関営業所(新潟交通北)430円 新潟22か・785 日デ/富士重工
上野の新潟交通北 上野バス停  今度は、上野から下関営業所まで全区間乗車する。大島までは、先ほど乗った道を戻っていく。大島からは越後大島駅前を通り、米坂線の線路を渡って、南側の山本へ寄っていく。
 上土沢から山本までは、復乗になるところ。山本は、商店の駐車場のような折り返し場だった。ここまで来ても、誰も乗客はいなかった。今度は、上土沢から小学校の前を通って、国道113号線へ戻っていく。
 国道をほんの少し走って、右側の道に入っていく。国道は下関の街並みを大きく迂回しているようで、これが街中に続く道のようだ。しばらく走って、郵便局の手前が下関営業所だった。
 今度は30分以上乗ったのだからと、かなりの運賃を覚悟したのだが、なんと430円。やっぱり同一村内路線だからなのだろう。
 駅との位置関係がわからなかったが、郵便局のところの信号を右折すれば越後下関駅で、営業所と駅はわりと近いことがわかった。
見学 下関の町 東桂苑(入館料:100円)
東桂苑 下関の街  村上行きのバスまで2時間あるので、昼食と観光に時間をあてよう。渡辺邸近くの肉屋の2階にある食堂で昼食にする。「えちごもち豚」のロースカツ定食1250円也。ここまで来たからには、地元のブランド肉を食べようではないか。いや、なかなかおいしかった。
 渡辺邸は行ったことがあるので、その先にある分家にあたる渡辺家御新宅の東桂苑を見学に行く。入館料は100円と渡辺邸よりずいぶん安い。規模もそれなりに小さいけれども、狭い階段を上がった2階も開放されており、いろいろな部屋から庭園が眺められるようになっていた。
 庭も歩いていいとのことなので、庭を抜けて町の資料館を通って営業所へ戻った。
東桂苑
57.下関営業所14:55→15:36村上営業所(新潟交通北)680円 新潟22か・785 日デ/富士重工
下関営業所の新潟交通北 下関営業所バス停  村上行きのバスは、今日4度目の同じ車両と運転士さんだった。自分の行動とバスの運用が完全に一致してしまったようだ。まあ、これはこれでおもしろいではないか。
 先ほどの街中の道を途中まで走り、右折して行く。細道を走っていくと、いつしか国道を越えるほどの高度になっていた。そのまま、あまり広くなく長い小見橋で荒川を渡っていく。
 荒川を渡ったところが、方向幕の経由地名にもなっている小見だった。けっこうカーブの続く道を走っていくと、国道290号線になり先ほど通った女川地区に入っていく。
 その先は、村上目指して国道290号線を走っていく。しかし、女川地区を過ぎると、これほどまでに人家が見えないものなのか。行けども行けども、林の中の一本道だ。桃川峠で神林村に入り、下り坂になる。河内をすぎて桃川上まで来てようやく集落が現れた。
58.村上営業所16:03→16:48北中(新潟交通北)880円 新潟22か・876 いすゞ/北村
村上営業所の新潟交通北 村上営業所バス停  村上営業所は、窓口やベンチの並んだ待合室のあるバス駅だった。自分を含めて3人の待ち客がいたのだが、自分以外の2人は16時ちょうどの新潟行き高速バスに乗っていった。
 高速バスが出た後でやってきた北中行きは、この旅2度目の北村ボディー「なまず」の登場。昨日乗ったバスとは違い、こちらはバスカードが使えず、あの手動運賃表示装置が運転席脇についていた。
 日曜日の夕方だし、乗客は自分だけかなと思っていたところに、発車間際に高校生が3人ほど乗ってきた。村上営業所を発車すると、駅前や街中の停留所からも数人の乗車があり、少しずつ座席が埋まっていった。
 しばらく村上の街中を走って、上片町バス停を過ぎるとちょっと狭い道へと左折していく。その先がすごかった。鍵形に左折、右折と狭い道を曲がって山辺里橋を渡る。たいして広くない橋の直前が直角に曲がっているのだから、これだけ長さがあるバスがちゃんと曲がれるのだろうか。しかし、そこはプロ。対向車とのタイミングを計って、みごとに曲がっていった。
 そのまま県道をしばらく走って、小川バス停から国道7号線へと進んでいく。やがて、1人ふたりと降りていく。塩野町車庫で2人が降りてしまうと、乗客はついに自分だけになってしまった。
 そして、ここからの道がすごかった。ただ山の中の坂道をひたすら登っていく。人家など見えないのだ。途中、葡萄トンネルを抜けたところにある、葡萄というスキー場のある集落だけが、まとまって人家の見えたところだった。歩道もない長い朝日トンネルを走っていく。やがて、下り坂にかわり集落が見えてくると、そこが大毎(おおごと)だった。バスは集落の中の細道へと入っていく。すると集落の中にある三叉路に、終点の北中バス停が立っていた。
 少し戻ったところにあるアヤメが咲く防火水槽の前で、村上へ戻る折り返しのバスを撮影した。
村上へ戻る新潟交通北
59.北中17:17→17:32勝木駅前(新潟交通北)410円 新潟22か・840 三菱/新呉羽
防火用水の前を走る 北中バス停  村上からのバスは、大毎を通って北中まで。北の勝木駅からやってくるバスは、北中を通って大毎が終点になっている。これから乗るであろう、勝木駅方面からの大毎行きバスを、先ほどと同じ防火用水のところで撮影する。スライドドアの観光タイプのバスだった。ただ、運転席の上には行き先方向幕がついているから、路線用であることは間違いない。
 北中のバス停から出る、勝木方面の最終バスに乗る。最終バスは雷(いかずち)行き。勝木駅、府屋駅を通って、新潟・山形県境の雷峠近くの集落まで行くバスだ。
 今朝の天気予報では、今日は28度くらいまで上がってよく晴れるといっていたので、大半の荷物を新潟駅のコインロッカーに入れてきてしまった。しかしながら、その予報はみごとにハズレてしまった。気温はそれほど上がらず、曇っていた空からはついに雨が落ちてきた。夏至に近いこの時期、まだまだ余裕で写真が撮れる時間のはずなのだが、薄暗くなってしまった。ISO800のフィルムカメラなのだが、薄暗い雨の中、みごとにブレブレの写真になってしまった。
 バスはひたすら国道7号線を走っていく。少し下っているようだが、先ほどのような急な坂道はない。勝木川に沿って走っていく。いくつか直線トンネルがあり、川沿いに旧道がみえた。道路の付け替えも進んでいるようだ。ただ、北赤谷バス停のところだけは、トンネルに入らず脇の細道へ入ったいった。リクライニングシートの快適路線バスは、てっきり貸切かと思ったいたら、突然後ろの方で携帯の呼び出し音が鳴った。女子高生らしき乗客が1人乗っていたのだ。突然会話をはじめたので、びっくりしてしまった。やがて左折して、駅前への細道に入っていく。まるで計ったかのように、新発田営業所で買った回数券を使い切った。
北中の新潟交通北
入浴 勝木:ゆり花温泉(入浴料 400円)
ゆり花温泉  村上方面の列車まで1時間ほどある。今夜も夜行「ムーンライトえちご」だし、どこかでしっかり汗を流したい。勝木駅から歩いて5分ほどの、勝木ゆり花温泉へ寄っていく。
 あのままバスに乗っていれば、駅前の2つ先がちょうど温泉の前だった。まあ歩いたところで5分だし、次回のバス旅は駅前から再開の方がいいだろうから、駅前で降りたことに後悔はしていない。
 ちょっと茶色に濁った、けっこう暖まる温泉だった。入浴料も400円とお手頃。何より駅に近いのがうれしいかった。しっかり髪を洗って髭を剃って、夜行列車に乗る支度を調えた。
 勝木18:48の新津行き普通列車は、キハ110型の2両編成。村上〜酒田間の普通列車は、電化区間にもかかわらず、すべてディーゼルカーで運転されている。車内はガラガラ。ゆったりと日本海側のボックス席に座ることができた。途中、村上で降りて、駅近くの料理屋でサケ料理の夕食にする。
 村上からは「らくらくトレイン」折り返しの特急車両使用の快速新潟行きで、今夜の宿の始発駅、新潟へと向かった。

ホーム▲ 旅目次△ <第9日 第11日>