第12日 〜2006.8.24(木)〜

鶴岡駅前→本荘駅前角

64.鶴岡駅前8:52→9:36湯野浜温泉(庄内交通)670円 庄内22あ・319 日デ/富士重工
鶴岡駅前の庄内交通 湯野浜温泉  真っ黄色のバスに乗って、バス旅の再開。鶴岡から湯野浜温泉に行くバスは2系統ある。鉄道時代の経路で、善宝寺を通って東側から湯野浜を目指すものと、海岸沿いの加茂を経由して海沿いに西から湯野浜を目指すものだ。
 善宝寺の鉄道資料館も閉鎖されてしまい、途中下車の魅力が減ってしまったので、景色を楽しみに加茂経由に乗っていくことにした。バスは、昨日通った鶴岡の街中を、市役所方面へも丁寧に回っていく。ようやく国道7号線との交差点を過ぎて、加茂へ向かう国道117号線に入った。
 小高い山が迫ってきて、加茂トンネルに入る。これを抜ければ加茂地区なのだろう。トンネルを抜けてすぐ左手に、大きな木造二階建ての廃校舎が見えてきた。「中」という文字の校章が外壁についているから、元は中学校だったのだろう。これだけ大きな木造校舎は、たとえ廃屋といえどもなかなか残っていないのではないだろうか。その先の加茂松野屋バス停で、ついに海沿いに出た。
 そこからは、左手に海を見ながら湯野浜温泉を目指す。先の方に、ビルが建ち並んでいるのが見えるから、あそこが温泉街なのだろう。神社前バス停を過ぎると、その温泉街に入っていった。乗っていた人たちはホテルで働く人たちなのか、バス停ごとに1人ひとりと降りていく。温泉街の端まで行くと、バスは1本山側の道に入って今度は反対方向に走っていく。その道をかなり戻ったところが、終点の湯野浜温泉だった。バス乗り場の前に建っているビルが、庄内交通時代に湯野浜温泉駅があったところだという。
湯野浜温泉に停まるバス
65.湯野浜温泉10:15→10:46四中前(庄内交通)760円 庄内200か・・52 日デ/西工(ノンステ)
湯野浜温泉の庄内交通 飲泉所  旧庄内交通の湯野浜駅の跡に建つ「コスパ」というビル。公民館などが入っているのだが、1階には湯野浜温泉下区共同浴場があり、250円で入浴できる。しかも朝6時からやっている。もちろん、入りたかったのだが、休館日が第2・4木曜日。みごとに今日が第4木曜日なのだ。
 あきらめるしかなく、バス停前のループ状の一方通行の中央にある、小さな公園に行く。そこには足湯と飲泉所があった。足湯の利用者が多かったので、温泉でも味わってみるかと、飲泉所のコップで流れ出る温泉を飲んでみる。ちょっと塩辛い温泉だった。
 そのうちに、酒田からのバスがやってきて後ろに停まった。あちらは、真っ赤なバス。庄内交通のバスは、従来のツーステップバスが黄色、ワンステップ・ノンステップバスが赤に塗られているようだ。
 やがてドアが開き、バスに乗り込む。赤い塗色からもわかるとおり、ノンステップバスだった。全部で3人の乗客を乗せて、湯野浜温泉を発車した。
 温泉街を抜けても、庄内平野のほぼ平らな道を走っていく。途中に庄内空港があるのだが、空港ターミナルに寄る路線ではないので、滑走路の下をトンネルでくぐっていった。その先の浜中学校前付近に、少しだけ狭隘路があった。
 まっすぐ酒田駅へ向かっても、鳥海山へ登るバスまでは時間がある。せっかくなので、どこか寄り道をしたい。そんなこともあり、酒田市内に入って「るんるんバス」と乗り換えが出来る四中前で降りることにした。
飲泉所
66.四中前10:59→11:08土門拳記念館(るんるんバス) 100円 庄内200あ・・33 三菱(ノンステ)
四中前のるんるんバス 土門拳記念館バス停  酒田市の運行している「るんるんバス」に乗って、土門拳記念館を目指そう。「るんるんバス」のウェブサイトには、白地にカラフルなラインの入ったリエッセが載っていたので、そんな塗色のバスが来るものとばかり思っていた。
 しかしながらやってきたのは、真っ赤な庄内交通バスに「るんるんバス」と書かれたマグネットシートを貼り付けたものだった。このバスは、火・木・土運行の酒田かんぽ線。曜日限定の路線は、もしかすると庄内交通に委託されているのかもしれない。
 ドアを開けたノンステップバスに乗りこむと、乗客はいない。前乗りで乗車時に100円を入れる。運転士さんから「どこまで」と聞かれたので「土門拳記念館まで」と答える。まっ、こんなところから駅へ行かない路線に大荷物持った人間が乗ることはまずないだろう。行き先を確認して、安心したのではないだろうか。
 やがて道が広くなり、右手に土門拳記念館の標識が見えてきた。しかしながら、バスは違うバス停名を告げ左折してしまった。心配になって運転士さんにたずねると、ぐるっと一周してから寄るので、心配しないでと言われてしまった。いろいろ寄り道するのは、コミュニティーバスの常なので、経路がわかってしまえば心配しないが。
 東北公益文科大学の周りをぐるっと一周してから、ようやく飯森山にある土門拳記念館バス停へと入っていった。
四中前バス停
見学:土門拳記念館(酒田市写真展示館) 入館料:420円
土門拳記念館 土門拳記念館  正式名称は「酒田市写真展示記念館」というらしいが、バス停名からもわかるように「土門拳記念館」の方が通りがいいようだ。
 酒田出身の写真家、土門拳の作品を展示している美術館だ。今日の展示内容は、室生寺、文楽、日本名匠伝の3つ。室生寺のモノクロ大型パネルに圧倒され、戦前モノクロフィルムにフィルターをかけて4色分解して撮影したという文楽のカラー写真の鮮やかさにびっくり。
 途中でおしゃべりの団体さんが入ってきたものの、こういう人たちはじっくり見ることもしないので、早々に退散してくれた。別室の日本名匠伝は、写真は小さいながらも解説がしっかりしていたので、写真とともに読んで楽しめる展示になっていた。
 とにかく迫ってくるものを感じる写真が多いとうのが印象。白鳥池が見える休憩室でアンケートなど書いていると、またたく間に1時間ほどの時間が過ぎてしまった。
67.土門拳記念館12:16→12:36酒田駅前正面口(るんるんバス)100円 庄内200は・・60 日野
土門拳記念館のるんるんバス  記念館の見学が終わって、今度は毎日運転の「るんるんバス」酒田駅大学線に乗っていく。やってきたのは、ウェブサイトに載っていた塗色のリエッセだ。ナンバーも白ナンバー。こちらは市が直接運行に携わっているのだろう。
 記念館前から5人ほど乗車する。スーツ姿の人もいた。庄内交通の路線バスより1本海側の、出羽大橋を渡って酒田の市街地に入っていく。これまた、まっすぐ駅へ向かうのではなく、左折して市街地を丹念に回っていくようだ。
 デパートの前にある中町バス停で、数人の乗降がある。この辺りが商業の中心地なのだろうか。そこを抜けると、今度はお寺が集まっている地区を走っていく。そこを過ぎれば、駅まではあとわずかだった。
 次のバスは、駅前から乗ることも出来るのだが、せっかくだからバスターミナルの庄交ターミナルから乗ってみようと、300mほど歩道を歩いていった。
 バスターミナルというから食堂があるのではと期待していたのだが、本当にバスの乗り場だけで、他の店は撤退してしまったようだ。パンとジュースで簡単な昼食になってしまった。
68.庄交ターミナル13:18→14:37鉾立(庄内交通) 1670円 庄内22あ・341 三菱
庄交ターミナルの庄内交通 庄交ターミナルの表示  ここから鳥海山の五合目にある鉾立へ向かう、快速ブルーラインに乗車する。鉾立は秋田県にかほ市。このバスで県境を越えるのだ。このところ、栃木・福島・新潟・山形と、徒歩での県境を越えが連続したので、バスに乗ったまま県境越えをするのは久しぶりだ。
 快速バスだし、登山の人も多いだろうから、荷物収納のトランクがあるハイデッカーの観光タイプでもやってくるのかと期待していたのだが、現れたのは前後ドアの普通の路線バスだった。行き先が「鉾立」でなく「鳥海ブルーライン」となっている。そして、その英字表記が「Mt.CHOKAI」となっている。これが鳥海山に行くバスだぞと、普通のバスとの違いを主張しいているようだ。
 やってきたバス以上に驚いたのは、ターミナルから乗車したのが自分だけだったこと。そして、酒田駅前からの乗車も1人だけ。これがこの日、快速バスの乗客すべてだった。1時間20分あまりを、この2人で貸し切ったようになってしまった。
 バスは、市街地を抜けると周囲にほとんど人家のない、国道7号線をひたすら走っていく。バス停はあるものの、1日2〜3本の季節運行のこの路線しか止まらないからか、まったく乗降はなかった。道の駅鳥海を過ぎたところで、国道7号線と別れて左側へ入っていく。吹浦駅前でしばらく時間調整の停車をする。
 吹浦駅前からも乗車はなく、十六羅漢を過ぎて右折すると、いよいよ鳥海ブルーラインだ。普通の路線バスのようだけれども、山登りできるように高出力車を使用しているとのことだ。
 最初は景色が見えていたものの、山を登るにつれてだんだん霧が出てきて真っ白なってきた。やがて大平山荘のある大平バス停で時間調整の停車。ここが山形県最後の停留所だ。その先で県境を越えて、秋田県の鉾立へ向かった。
鳥海スカイラインへ
見学 鉾立にて
鉾立の風景 鉾立から見る日本海  鉾立でのバスの乗り継ぎ時間は2時間弱。登山はできないけれども、景色を楽しむことはできるだろうと思っていた。ところが、辺り一面真っ白。まったく展望がきかない。
 一段高いところにある、国民保養センターへ行ってみる。屋上が展望台になっているようで、登ってみるがやはり真っ白。それでも時間が経つと、だんだんと霧が晴れてきた。
 やがて、日本海側の霧はほとんど晴れて、景色が見えるようになった。すると、自分の目線よりも下に雲があるではないか。その下には、日本海が太陽に照らされてキラキラ輝いている。雲よりも高いところにいるというのが、何とも不思議な気分だった。
 残念ながら、鳥海山側の霧は晴れることはなく、山頂をのぞむことは出来なかった。それでも飽きることはなく、2時間ほどの待ち時間に、ビジターセンターを見学したり写真を撮ったりと、ことのほか充実した時間が過ごせた。
 そうしているうちに、秋田県側から象潟駅へ向かう象潟合同タクシーのバスがやって来た。観光(貸切)仕様のマイクロバスだった。
鉾立の風景
69.鉾立16:20→16:58象潟駅前(象潟合同タクシー) 1500円 秋田22き・・40 日野
鉾立の象潟合同タクシー 鳥海山を下る  駐車場にある公衆トイレの前が、鉾立バス停になっている。庄内交通と象潟合同タクシーのポールが、仲良く並んでいる。しかしながら、運行時間の関係で2社のバスが並ぶことはないようだ。
 そんなこともあって、先ほど庄内交通のバスが停まっていたところに、象潟合同タクシーのバスが停まっていた。1+2列シート、小さいながらけっこういい座席が装備されているようだ。
 発車時刻までに乗車したのは2名。ただ、もう1名はさっき乗っていたのとは別の人。さすがに、バスで県境を越えるためにこの路線に乗るもの好きは、そんなに多くはないのだろう。
 発車するとすぐに山下り。だんだんと雲の位置が目の高さに迫ってくる。雲の隙間から差す太陽が、海面をキラキラ輝かせているのが何ともきれいだ。やがて、バスは雲よりも下になった。遠くの風力発電の風車がよく見える。
 山を下ると、あとは駅へ向かって走っていく。運転士さんは、今朝も2人しか乗っていなかったと嘆いている。羽後交通が撤退したあと、がんばって路線を開設してくれた象潟合同タクシー。何とか利用者が増えて、この先も運行を続けていってもらいたいものだ。
鉾立バス停
70.象潟駅前17:10→18:08本荘駅前角(羽後交通)590円 秋田22い・882 日デ/富士重工
象潟駅前の羽後交通  熊野神社前までの象潟市街地は、けっこう狭い道の連続。そんな道の途中でも、バス同士のすれ違いがあり、ハラハラしてしまう。有名な蚶満寺を過ぎて、このまま国道7号線を行くのかと思ったら、踏切を渡って右側の道に入っていく。
 この辺りでも、けっこう田んぼの中の松島が見える。仁賀保高校に寄り道して、再び国道を走っていく。下黒川というところから、行き先表示にもある芹田経由の道へと左折していく。
 ここもけっこう狭い道が続く。深谷地バス停は、海のすぐ近くだった。その次のバス停は鈴という一文字バス停。仁賀保駅前近くまで、こんな狭い道が続いていた。
 仁賀保駅前を過ぎると右折して、再び国道に戻る。その途中にTDKの工場があり、そこから2人乗ってくる。にかほ市はTDK発祥の地だそうで、あちこちに関連工場があり、そこには今年の都市対抗野球出場の横断幕がかけられている。
 国道はにかほ市から由利本荘市に入り、バスは羽越本線に沿って快調に走っていく。やがて、バスは線路と別れ本荘の市街地を目指していった。バスはJRの駅前には入らず、道路上の本庄駅前角というバス停が駅最寄りだった。

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