第13日 〜2006.8.25(金)〜

本荘駅前角→秋北ターミナル

71.本荘駅前角7:05→8:25秋田駅前(羽後交通)780円 秋田200か・423 日野
本庄駅前角の羽後交通  JR羽後本荘駅近くにある本荘駅前角バス停から、バス旅を再開する。今日、最初に乗るのは急行秋田駅行き。観光タイプのバスがやって来るのかと期待したら、現れたのは普通の路線バス。急行というのは、新屋を過ぎて秋田市街地に入ってから、秋田中央交通と競合する区間の停車バス停が少ないからのようだ。
 バスが走る国道7号線は、羽越本線よりも海側を走っている。やがて道路は海沿いに出た。国道は海より一段高いので、手に取るようにとはいかないものの、車窓には日本海が見える。
 すれ違う本荘行きはけっこう乗っている。通学生が目立つようだ。こちらは、学生はほとんどおらず、乗客もまだ座席の半分程度。ずっと国道を走っていたバスも、松ヶ崎地区だけは国道を離れて海沿いの道に入っていった。
 秋田に近づくにつれ、こちらの乗客も増えきた。桂根駅近くを過ぎると、国道から県道へと入っていく。新屋を過ぎて雄物川を渡る手前から、道路も渋滞してきた。
 秋田大橋を渡れば、もう完全に秋田の市街地だ。道路も片側2車線になって再び流れ出し、それほど遅れることなく秋田駅前に到着した。
72.秋田駅前8:55→9:08温泉入口(秋田中央交通)270円 秋田22い・860 日野
秋田駅前の秋田中央交通  秋田駅前は緑色の秋田中央交通のバスがひっきりなしに出入りしている。今乗ってきた、赤い羽後交通は異端児のように感じられてしまう。かつては、秋田市営バス(秋田市交通局)が走っていたのだが、2006年3月末に最後の3路線4系統が秋田中央交通に移管されて廃止されてしまった。
 これから乗る自然センター行きも、秋田市営バスの路線だった。2004(平成16)年4月1日から秋田中央交通に移管された路線の1つだ。
 このバスに乗って、午前中は10時までしか入浴できないという秋田温泉に寄ってこようと思う。自然センターに行くらしい子供たちを乗せて、駅前を発車する。住宅地や学校の角を、次々と曲がりながら走っていく。途中に「からみでん」というバス停があった。「でん」はどうやら「田」らしい。
 子供たちの団体以外はのお客さんは、自分を含めて5人ほどのようだ。やがて温泉入口を告げる放送が流れる。押しボタンを押して降りる。他にも下降りる人がいるかと思ったのだが、降りたのは自分だけだった。
入浴 秋田温泉りらっくす(入湯料 520円)
りらっくす  バス停を降りると、大きなホテルが目に入る。そのホテル以外は、郊外の住宅地と行った雰囲気。そのホテルの一軒、「秋田温泉さとみ」がやっている日帰り入浴施設が「りらっくす」。8:30〜10:15まで早朝入浴というのをやっているのだ。
 道路から少し下った広い駐車場の中に、その「りらっくす」が建っていた。靴をロッカーに入れて、入口の券売機で大人520円の入湯券を買う。係の方から「早朝入浴は10時15分までですけど、よろしいですか」と聞かれる。まだ1時間あるし「かまいませんよ」と答える。
 平日のこの時間に温泉に入っている人は、ほんの数人。露天風呂もあり、これなら30分以上はゆっくり楽しめそうだ。浴槽から見える時計を気にしながら、それでも時間いっぱい温泉に入って、朝からしっかり目を覚まそうと努力をした。
 早朝入浴終了の時間が近づいてきたので、そろそろと上がってバス停を目指す。バス停まで行くと、温泉から出たばかりなのに、突然雨が落ちてきた。何と運の悪いことか。傘をさそうか迷っていると、ほぼ時刻にバスがやってきた。バス停で待っていた地元の方に続いて、乗り込んだ。
73.温泉入口10:17→10:38秋田駅前(秋田中央交通) 270円 秋田22い・780 日デ/富士重工
温泉入口の秋田中央交通 温泉入口バス停  午前中に駅前へ向かう路線だからか、停留所ごとにお客さんが乗ってくる。先ほど、駅から来た道を逆にたどるだけなのだが、今回は降りる人はほとんどおらず、乗ってくる人が停留所ごとにいる感じだ。
 乗客はどんどん増えて、途中からは立ち客もでる盛況になった。これだけ乗っているバスに出会うのも久しぶりだ。やはり県庁所在地の都市を走る、生活密着の路線バスだからなのだろう。
 秋田の駅前には、一方通行になっている区間がある。帰りは、行きとは違う方を通ることになる。その一方通行区間に、行きにはなかった「買物広場」というバス停があった。ちょうど、ショッピングビルの間の広場全体が、ロータリー式のバス停になっているのだ。時間調整なのか、停まっている回送バスがいるので、ちょっと見た目は、バスの駐車場かと思ってしまった。そして、ここで降りる人がとても多かった。
 数人のお客さんを乗せて、次の終点、秋田駅前へ向かって走っていった。
74.秋田駅前11:10→11:17交通公社前(秋田中央交通)140円 秋田200か・194 いすゞ(ワンステ)
秋田駅前の秋田中央交通  秋田の市街地にある、地ビール「あくら」へ行ってランチ&ビールにしたい。歩いても15分ほどらしいのだが、次のバスがその近くを通る。ビールを飲んで、また駅前まで戻ってくるのがおっくうなので、最寄りバス停までバスで行こうではないか。
 調べてみると、近くにあるのは交通公社前バス停。この次に乗る五城目行き以外にも、ここを通る路線は多数あり、次のバスは「天王グリーンランド」行きだった。そこそこの乗りだが、すぐに降りるので空席に荷物を置いて立っていく。
 駅前の一方通行を走っていく。もちろん、こちらには買い物広場バス停はない。片側何車線あるのだろう、けっこうバスがたくさん走っている。一方通行を抜けて左折し、そして右折してすぐが、交通公社前バス停だった。
 交通公社前バス停の前は、その名の通りJTBの支店があった。日本交通公社がJTBと商号変更したのは21世紀になったときから。それから6年以上経つのに、それにしてもバス停名が昔の名前のままとは、何とも時代を感じてしまう。そういえば、未だにJAではなく農協とついたバス停にも、たまに出会うことがあるが。
昼食&地ビール 「AQULA(あくらビール)」
あくら あくらの地ビール  次のバスまでの時間は、約1時間。それまでにビールと昼食という、ちょっと忙しいスケジュール。ランチタイムは11:30から。中庭のテーブルでは、すでにご婦人お二人が待っていた。
 ここはビールだけでなく、限定ランチも人気。やがて「OPEN」の札が出て、店内にはいる。
 今日のビールは4種類。お米で作った「秋田美人のビール」。ピルスナーの「レーベンスバウム」。ヴァイツェンのい「ビルケ」。黒ビールの「ローゼンバウム」。まずは、小さいグラスの4点セットから。
 お昼なので、そんなにたくさん飲んでは、この後のバス旅に差し支えが出る。ビルケのグラスと特製カレーのランチを頼んでお昼にする。いやあ、おいしかったですよ。ビールもカレーも。
 そのうち、女性のひとり旅らしき方が入ってきて、やはりミニグラスの4種セットを頼んでいた。男女を問わず、ビール好きはけっこういるんだよね。まあ、見知らぬビール好きと話しが弾んだという経験はないんだけど。
 あくらビールからバス停までは1本道。歩道を歩いて、交通公社前バス停まで戻る。
あくら
75.交通公社前12:22→13:30五城目バスターミナル(秋田中央交通) 870円 秋田22い・213 日野
五城目駅跡  やっぱりビールをかなり飲んだから、しっかり写真を取り逃してしまった。できあがった写真を見たら、JTBの看板しか写っていない。しかたないので、終点の五城目バスターミナル近くにあった、秋田中央交通の五城目駅跡の看板を載せてごまかしておこう。
 秋田中央交通は、元々は鉄道会社。1969年まで奥羽本線の八郎潟と五城目を結んでいた。当時の車両(電気機関車と客車)が、五城目小学校の校庭に保存されていると読んだことがあるので、五城目に着いたら行こうと思っていたのだが、調べてみると2002年に解体されたとか。
 このバスは国道7号線を北上し、大久保駅手前から県道に入り線路に近い道を北上する。八郎潟駅前には寄らないものの、八郎潟駅付近の繁華街一日市を通ってから、進路を東に向け五城目を目指す。
 乗ったときはそこそこ混んでいて、最後部の座席に座ったのだが、いつしか眠ってしまい、気がついたのは羽後飯塚の手前だった。その頃には、すっかり車内は閑散としていた。車庫の敷地が細長い五城目バスターミナルまで乗ったのは、ほんの数人だった。
76.五城目バスターミナル14:55→15:42沖田面(秋田中央交通) 930円 秋田200か・128 日野
五城目の秋田中央交通  五城目バスターミナルから沖田面行きのバスに乗っていく。このバスは1日1本。途中の滑多羅温泉止まりは1日4本あるのだが、そこから峠を越えて行くのは、この1本だけなのだ。
 やってきたのは、2ドアのリエッセだった。乗客は2名。バスはゆっくりと走っていく。しばらくして、もう1人のお客が降りていってしまった。
 六郎沢というところで、水色に塗られた木造校舎が見えた。すでに閉校しているが富津内小学校の看板が見える。きれいな色に塗られた木造校舎というのも、あまり見た記憶がなく、地域で大事にされてきた学校なのだろう。
 運転士さんから「どこまで」の声がかかる。「終点まで行って、秋北バスに乗り継ぐ予定なんですが」と答える。しばらく行くと左手に建物が見えてきたなと思ったら、それが滑多羅温泉だった。そこから、登り坂が急になった。「ここから先は、人が乗ることはまずないから」という。たしかに、バス停がないのだ。もちろん人家もない。森林の中の道とトンネルを走っていくだけだ。
 峠を越えて下り坂になり、ようやく人家が見えたときはホッとする思いだった。
2008年9月30日限りで滑多羅温泉〜沖田面間廃止。代替交通機関なし
沖田面バス停
沖田面の地図 沖田面バス停  秋田中央交通の到着予定時刻は15:42だが、ここからの秋北バスには15:39というのがある。うまくいけば乗り継げるかもと思っていたのだ。そのバスがすぐ前を走っている。これは乗り継げると思ったら、秋北バスはバス停に停まらずに行ってしまった。乗客がいないから通過してしまったのだろう。
 次のバスは1時間後。バス停に貼ってある時刻表で確認をする。道の反対側にポールがないから、時刻表には両方向のすべての時刻が書いてある。やはり道路の向い側で待てばいいのだなと考えて、とりあえず郵便局へ向けて歩いて行く。
 すると先ほどは見えなかったS字カーブの先に、行燈式のポールが立っているではないか。こちらにも、両方向すべてのバスの時刻が書いてある。これはいったい、もう頭の中は??
 やがて逆方向のダム入口方面のバスが来た。運転士さんに確認すると、鷹巣方面はあの行燈式のバス停から乗るのだそうだ。秋田中央交通の終点からは100m弱離れている。
沖田面バス停
77.沖田面16:51→18:11鷹巣駅前(秋北バス) 1000円 秋田22い・900 いすゞ/IK COACH
沖田面の秋北バス  こんどは、間違いなく行燈式のポールの前で待っていると、朱色とクリーム色、白の3色に塗られた、秋北バスがやってきた。方向幕の大きさに比べて、文字がとても小さい。小型の方向幕用の文字をそのまま使っているのだろうか。
 ドアが開く。乗り込んでみると、さっき乗り場を教えてくれた運転士さんだ。車内に乗客はなかった。この時間は、鷹巣方面からこちらに来るのが人の流れなのだろう。
 秋北バスのウェブサイトを見ただけでは、この路線の経路がよくわからなかった。乗ってみて初めてわかったのだが、まっすぐ鷹巣へ向かうのではなく、中五反沢や上社仏といった集落への枝道を往復してくるのだった。とくに、中五反沢への道は狭く、折り返しはその狭い三叉路で切り返して方向転換していた。かなりの運転テクニックが必要な路線だ。
 また上社仏への枝道は、途中から違う細道を通るなど複雑な寄り道で、できることなら地図を見ながら乗ってみたいと思わせる経路だった。
 長下というところを過ぎると、とても長い下り坂を走って米内沢の街へと走っていった。途中、米内沢営業所で時間調節を兼ねて休憩があった。大きなお札しかない方はこちらで両替をとのことなので、ここで3000円ほど回数券を買っておいた。
 営業所を出て、秋田内陸縦貫鉄道の米内沢駅前を通るが、ここでも乗降なし。自分1人を乗せたまま、バスは走っていく。七日市も国道からそれた細道の集落。ようやく、ここから乗ってくる人がいた。その先ではバスのすれ違い。それなりに細い道なので慎重にすれ違う。
 まだ鷹巣の市街地までは少し離れている、鷹巣高校前で乗車・降車ともにあった。鷹巣橋で米代川を渡れば、ようやく鷹巣の市街地だ。その先でも2人ほどお客を乗せて、市街地を右へ左へと曲がりながら走っていく。やがて終点を告げる放送が流れた。いつの間にか鷹巣駅前に到着していたようで、降りたバスの目の前にはロータリーがあり、その先に駅舎が見えた。
秋北バスの行き先表示器
78.鷹巣駅前18:22→19:17秋北ターミナル(秋北バス) 810円 秋田200か・354 いすゞ/IK COACH
鷹巣駅前の秋北バス  秋北バスは国際興業グループの会社。そんなこともあって、次のバスは東京でもおなじみの国際興業カラーのバスだった。東北は、岩手の岩手県交通。青森の十和田観光鉄道とともに、国際興業グループ各社のバスが、統一カラー(KKK塗色)になりつつあり、従来からの各社のオリジナルカラーのバスが減っている。
 大館の秋北ターミナルに着く頃にはすっかり暗くなっていることだろうけれども、明日のこともあり今日はどうしても大館まで行っておきたい。
 バスは国道をはずれて、細道を行くところがいくつもあった。鷹巣を出てすぐ綴子の集落の中を走ったり、早口駅前を通る道に入ったり。中でも、国道から下川沿駅とその周辺の集落への道は狭く、カーブもきつかった。そんな道の商店の前でバスの行き違いがあったのにはびっくりしてしまう。
 こんな道を通るのなら、明るければもっと楽しかっただろうに。もう真っ暗になってしまった。国道の両側に商店が現れて、大館の市街地に入ったようだ。駅前から離れた大館の中心地にある、秋北ターミナルでバスを降りる。バスターミナルの上は秋北ホテル。バスターミナルのホテルに今日は泊まる。

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