第14日 〜2006.8.26(土)〜

秋北ターミナル→青森駅

79.秋北ターミナル7:15→8:15小坂小学校前(秋北バス)840円 秋田200か・477 いすゞ/富士重工
秋北ターミナルの秋北バス 大館ドーム  土曜の朝、大館から小坂へ行くバスに乗る。秋北ターミナルから乗ったのは、自分と高校生の2人だけ。やってきたバスは、昨日と同様KKK塗色のバスだった。
 途中で1人お客さんがあるが、方向幕にもある樹海モールというショッピングセンターで降りていく。早朝から出勤する従業員の方だろうか。バスはこの先、小坂精錬小坂鉄道の線路に沿って走っていった。
 小坂鉄道は、1994年9月末までは旅客営業も行っていたが、今は貨物鉄道になってしまった。小坂から大館まで、小坂精錬所で製造される濃硫酸を運んでいる。もしかしたら、途中で貨物列車に出会えるかもしれない。(2009年3月31日限りで小坂精錬小坂線は廃止)
 そんな期待をしていたが、列車と出会う前に白いドーム建物が見えてきた。平成の大館十景にも選ばれた『樹海ドーム』だ。秋田杉を使って建てた、野球も出来る大型ドームなのだとか。
 かなり狭い道を走りながら、小坂鉄道の踏切を何回もわたっていく。しかしながら、今日は土曜日。たしか、土・日・祝は貨物列車は原則運休だったはず。よほどのことがないと、出会えることはないのだろう。
 大館市から小坂町に入り、下り坂の途中にあったのが小坂高校。ここで秋北ターミナルから乗った高校生が降りていく。大館からここまで、毎日1時間弱のバス通学は大変だろう。なんと、ここには高速バスのバス停もあった。青森と盛岡を結ぶ「あすなろ号」がいったんインターを降りて、ここに停車するのだそうだ。
小坂精錬のふみきり
寄り道 小坂精錬小坂駅
小坂駅 小坂駅舎  坂道を下り終わると、そこが小坂の町の中心地だった。バスは町の外周を、反時計回りに一周するという。さて、どこで降りようか。せっかくだから、貨物駅になった小坂精錬小坂線の小坂駅を見学してこよう。駅に近い、小坂小学校前で降りることにした。
 駅舎はまだ残っているものの、貨物駅であるので駅舎やホームには無断立入禁止の旨の貼り紙があり、ホームへの柵は閉ざされていた。それでも、柵の外から側線を見渡せば、旅客輸送をやっていた頃のディーゼルカーが1両停まっているではないか。旅客営業廃止後、弘南鉄道黒石線に移籍してから一度だけ乗ったことがある。その後ろには、濃い緑に塗られたラッセル車もいる。
 デジカメのズームを目一杯望遠にしても、あまり大きくは写らない。ところで、貨物列車を引っ張っているディーゼル機関車はどこかと探せば、機関庫の中に入っていた。どうやら、今日は貨物列車が運休というのは間違いないようだ。ここまで、1本の列車とすれ違わなかったのもしかたないことだったのだ。
立入禁止
寄り道 明治百年通り
小坂の地図 劇場  小坂駅を出て、線路沿いの明治百年通りを歩く。ここは古い建物がいくつも保存されている通り。中でも『康楽館』という芝居小屋が有名。通りの両側には、お芝居ののぼりがたくさん立っている。写真付き切手も出ている、松井誠ののぼりも見える。
 夏の土曜日ということもあって、駐車場にも何台か車が停まっていて、記念写真を撮っている人も目に入る。仕掛けはすべて人力・手動という、昔のままのシステムの芝居小屋。芝居を見物するだけでなく、芝居小屋そのものの見学コースもあるという。その見学の初回は9時からだという。
 見学してみたいという気持ちは強いのだが、残念ながら見学していては次のバスに間に合わない。すぐ近くの『小坂銅山事務所』やカトリック保育園として開園した『聖園マリア園』を移築した天使館などを見学してまわるにとどめておく。外観を見学するだけなら、この時間でも十分に可能だ。
(写真上 康楽館、写真左 小坂鉱山事務所)
建物
80.小学校前9:18→9:39十和田南駅(秋北バス) 420円 秋田200か・415 いすゞ/IK COACH
小学校前の秋北バス  やってきたのは、またしてもKKK塗色のキュービック。昨日乗ったキュービックとは違い、大型の方向幕用に大きな字で行き先が表示されている。これなら行き先がはっきり読める。
 小坂の車庫から出てから、ここまで小坂の町を時計回りに走ってきたはずなのだが、車内に乗客はいなかった。土曜日でも10時前と、そこそこ人が動く時間だと思うのだが。
 大館からのバスが走ってきた道を交差点まで戻り、そこから左折して、その先は国道282号線を南下して一路毛馬内を目指す。その途中で、ようやく1人乗ってきた。
 やがてバスは毛馬内の街中に入っていく。もより駅は、大湯川を渡った先にあるJR花輪線の十和田南駅だが、集落の中心は駅前でなくこの辺りらしい。郵便局や高校などもこの辺りにあった。
 先ほどの乗客も、毛馬内で降りてしまい、またしても乗客は自分1人になってしまった。国道にしては狭く感じる道路を進み、やがて左折するとその先に十和田南駅が見えた。
 駅前バス停は、本当に駅舎の真ん前に立っていた。かつては、国鉄〜JRバスへの乗換駅だった名残か、駅舎の改札を出てすぐ乗り換えられる位置に立っていたのだった。
81.十和田南駅9:52→10:54十和田湖(秋北バス)1130円 秋田200か・541 いすゞ/IK COACH
十和田南駅の秋北バス 十和田湖が見える  バス停前のベンチで待っていると、観光タイプのバスがやってきた。これかなと立ち上がると、これは八幡平頂上行きの急行バス。十和田湖から来たバスだ。ということは、まもなくやって来る十和田湖行きも、こんな観光タイプがやって来るのだろう。
 その予想は当たって、観光タイプのバスがやってきた。バスの前には「急行 十和田湖」の表示が出ている。車内に入ると、乗客は数名。夏の土曜日だから、もう少し観光客がいるかと思ったのだが、新幹線駅と接続しない八幡平頂上と十和田湖を結ぶ急行バスだと、こんなものなのだろう。
 それでも、毛馬内で2人乗ってきた。少しはにぎやかになるかなと思ったら、大湯温泉で自分と毛馬内からの2人をのぞいて、みんな降りてしまった。
 大湯温泉を過ぎると、いよいよ十和田湖への登り道に入る。中滝というところで、三戸へ向かう国道104号線や大湯川と別れると、発荷峠へ向けてさらに勾配が急になる。
 発荷峠を越えて下り坂になると、いよいよ目の前に十和田湖が見えてきた。天気もよいから、真っ青な湖面をしている。坂を下って湖畔の和井内に着くと、他の2人が降りてしまった。
 乗客1人になってしまったバスは、青い湖面を左に見ながら、終着の十和田湖めざして走っていく。十和田湖到着の直前で、秋田・青森県境を越えたはずなのだが、車内からではよくわからないまま、終点の十和田湖バスターミナルに到着してしまった。
 観光路線の急行バスなので使えないと思っていた回数券が使えるとのことで、米内沢で買った回数券をきれいに使い切ることができた。
十和田湖で休み秋北バス
十和田湖(秋田・青森県境)
十和田湖(秋田県) 十和田湖  十和田湖の県境を見てきたい。観光案内所に行って、県境を見たいのだがとたずねる。そんな質問をする人はまずいないとみえて、担当の方もちょっと悩んでしまった。地図と実際の方角を指さして、あの川が県境なんですがと教えてくれる。お礼を言って、その方向に歩いていく。
 結果的に、ちょっと湖畔から離れた、ホテル十和田荘近くに橋に県境の表示があった。橋から湖畔寄りが秋田県。反対側が青森県。
 その後、湖畔まで歩いて出航間近の観光船の写真など撮ってから、バスターミナル2階の食堂で昼食にする。
十和田湖(青森県)
82.十和田湖12:10→13:05焼山(ジェイアールバス東北) 1100円 青森200か・369 日野/J-BUS
十和田湖のJRバス 奥入瀬  十和田湖ターミナルの自動券売機で、焼山までの乗車券を買う。事前にきっぷを買ってバスに乗るなんて、この旅初めてではないだろうか。
 ここから乗るのは、八戸駅西口行きの『おいらせ号』。JTB時刻表には「座席定員制」の文字があるが、満席になることはまずないのか、普通に自動券売機できぷを買って並べばよいと窓口の人にいわれたのだ。時間前に乗り場へ行くと、もうすでに何人も並んでいる。それでも、バスの到着までに並んだのは20人ほどだった。
 バスは子ノ口までは十和田湖畔を行く。子ノ口でも数人の乗車があり、そこからいよいよ奥入瀬渓流沿いを行く。この景色を眺めたくて、バスは一番前の席に座ってみた。本土縦断バス旅の時は、まだ雪の残る中を通ったのだが、今日は緑濃い風景の中を走る。渓流の流れも勢いがよい。
 そんな渓流の途中の停留所から乗ってくる人が、何と多いことか。焼山などの駐車場に自家用車を停めて遊歩道を歩き、バスで車まで戻る人たちのようだ。八戸行きの特急バスだが、このような途中区間の乗降も定員以内なら自由に出来るのだ。
 やがて、焼山に到着して降りる。やはりここで降りる人が何人かいた。渓流の途中から乗ってきた人たちだ。こちらも少し遊歩道を歩きたいが、奥入瀬渓流を歩く時間はない。ビジターセンターへ行くと、奥入瀬川と蔦川の合流地点に近い出会橋を巡る遊歩道があるそうなので、そこを歩いてくる。
 吊り橋を渡ったり、温泉旅館の前の売店でソフトクリームを食べたりと、短い時間ながらもそれなりに楽しめるコースだった。
遊歩道の吊り橋
83.焼山14:52→15:36十和田市中央(十和田観光電鉄) 1030円 八戸200か・144 いすゞ(ワンステ)
焼山の十和田観光鉄道 焼山バス停  焼山から十和田市へ向かう十和田観光電鉄は、秋北バス同様国際興業グループ。やって来たバスは、これまたKKK塗色のワンステップバスだった。先ほどの八戸行きが、観光タイプのバスだったのに比べると、こっちは完全に生活路線だ。
 乗客はもちろん自分だけ。運転士さんは「土曜日のこの時間、駅方面のお客はほとんどいないよ」という。それでも、途中で1人乗ってきた。
 途中で、奥入瀬ろまんパークを通る。ここは奥入瀬ビールの地ビールレストランがあるところ。時間があれば、間違いなく途中下車なのだが、今日は残念ながら降りている時間がない。
 けっきょく乗客は2人のまま、十和田市の市街地に入ってきた。終点の駅前まで乗っても次のバスに乗り継げるのだが、十和田市駅のターミナルは暗くて写真が撮りにくいのがわかっているので、間違いなく市街地であろう十和田市中央バス停で降りることにした。
84.十和田市中央15:58→16:29七戸案内所(十和田観光電鉄) 520円 八戸200か・353 いすゞ
十和田市中央の十和田観光鉄道 十和田中央バス停  今日の目的地は青森駅。十和田市と青森駅を結ぶ急行バスの乗っていけば、目的地へは乗り換えなしだ。もちろん、それでよかったのだが、青森行きの前に途中の七戸行きがあったので、そちらに乗って七戸まで先行することにした。
 十和田市〜青森の急行バスは、野辺地経由のAとみちのく有料道路経由のBがあった。本土縦断バス旅でAには一部区間乗ったことがあるのだが、2004年4月19日限りでそのAは廃止されてしまい、今はみちのく有料道路経由のBのみになってしまった。
 やってきた七戸行きは、KKK塗色のキュービック。今日、小坂小学校前から乗ったバスと、そっくりに見える。でも、あちらは秋北バスでこちらは十和田観光鉄道。違う県の違う会社のバスなのだ。
 車内には、そこそこの乗客がいるではないか。市街地を通って、十和田市駅前に寄っていく。すると南部バスが道に停まっているのが見えた。そういえば、十和田市中央バス停にも南部バスの文字があり、五戸方面から十和田市への路線があるのだった。
 十和田市の市街地を出ると、あとは国道4号線を七戸へ向けて北上していく。小さな集落があると、1人また1人と降りていく。全員が七戸まで行くのではないようだ。途中停留所に停まっていく普通便に乗らなければ、この様子はわからなかっただろう。
 七戸の街の入口で国道を離れて、左側の市街地へと進路を変える。七戸の街はお祭りがあるようで、支度をしているところが車窓から見える。残っていた乗客のほとんどが、その七戸の市街地で降りてしまった。急行バスに乗っていたら、国道を直進してしまい、こんな祭りの風景を見ることはできなかっただろう。
 市街地を抜けて、再び国道に戻って街外れの七戸案内所に到着したときには、乗客は2人だけになっていた。ここにはバスの車庫もあり、白・赤・紺の旧塗色のバスも何台か停まっていた。
七戸の車庫
85.七戸案内所16:53→17:59青森駅(十和田観光電鉄) 1730円 青森200か・367 いすゞ/IK COACH
青森に着いた十和田観光鉄道  やってきたバスは、十和田南駅から乗った秋北バスと同じ、国際興業の貸切高速カラーのバスだった。これも塗色だけ見るなら、秋北バスそっくりだ。
 さすがに県都青森へ向かうバスだけ合って、ほどほどに席は埋まっている。中ほどに2席並びの空席を見つけて、そこに座っていく。営農大学前を過ぎると、国道に右側に一直線の草むらが見えてきた。かつて、レールバスが運転されていて鉄道ファンに根強い人気があった、南部縦貫鉄道の線路跡だろう。
 かつては天間林村役場だった七戸町役場前を過ぎてしばらく行くと、みちのく有料道路へつながる県道へと左折していく。この道路、本当に七戸地区と青森を結ぶ短絡道路で、周囲に人家がほとんど見えない山の中を走っている。途中3kmほどの「みちのくトンネル」で青森側へ抜ける。
 県道からやがて国道4号線へ入る。この国道、野辺地を通ってぐるっと海沿いを通っているのだから、有料道路を使うことでかなりの短縮になっているのは間違いない。青森の市街地でも、ぼちぼちと下車がある。青森駅前まで乗ったのは10人ほどだった。
 ちょっと残念だったのは運賃。十和田市〜青森と七戸〜青森の差は、ほとんどなかったのだ。

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