第3日 〜2007.6.12(火)〜

香住駅→久美浜駅

12.香住駅9:35→9:51余部小学校(全但バス)320円 姫路200か・511 いすゞ/IK COACH
香住駅の全但バス 香住駅バス停  今朝は、宿泊地の城崎温泉駅でコインロッカーに荷物を預け、列車で香住まで来てバス旅の再開だ。昨日は列車に乗って、餘部駅と餘部鉄橋を楽しんだから、今日はバスで下から鉄橋を見学しよう。
 この辺りのバス路線については、きゆろひさんのウェブサイト「バスでいこっ!」に詳しく載っているので、そちらにも目を通してもらった方が、わかりやすいと思う。  

参考:架け替え決定の餘部橋梁を見に行こう バス旅日記062

 香住駅前に着くと、駅員さんに餘部へ行く列車は何時かと聞いているおじさんがいる。今行ったばかりだから、しばらくないのだが。鉄橋を見学するなら、バスがありますよと声をかける。結局、おんじさんと自分、それに地元の方の3人を載せて、バスは香住駅を発車した。
 街中を抜け、矢田川を渡ると目の前に山陰本線が見えてくる。少し線路に沿って走ると、右側に香住高校の校舎が見えてきた。正門の奥には、巨大な金色に輝くスクリューが置かれている。水産関係の学科がある高校なのだろう。
 この先は、海から離れて山の中を行く。トンネルを2つほど抜けたカーブのところにあったのが、鎧口というバス停。香住と餘部の間に鎧という駅がある。ここから分岐している細道を行くと、その鎧という駅と集落につながっているのだろう。
 坂道を下っていくと、温泉センター前というバス停があり、地元の方はそこで降りていった。そしてその少し先から、正面に餘部鉄橋が見えてきた。
 道路よりはるかに高いところを走る橋梁。橋脚はまるで鉄骨のタワーのようだ。国道には、地元香美町による「ありがとう余部鉄橋、さようなら余部鉄橋」という横断幕がかけられていた。
2008年9月30日限りで香住〜余部〜御崎は路線廃止。香美町民バスとして運行継続。
香住駅バス待合室
余部小学校バス停付近
バス車内からの風景 余部小学校バス停  香住駅で声をかけたおじさんとともに、余部小学校前バス停で降りた。今日はここで、2時間強の見学時間をとってある。
 おじさんに次の列車の時刻と駅への行き方をたずねられたのだが、列車の時刻はともかく駅への行き方はよくわからない。昨日は列車で降りただけで、下の集落まで歩いてはいない。たしか鉄橋の下から登れたはずだがとしか教えてあげることができなかった。
 さっき乗ったバスが、まもなく折り返してくるはずだ。まずは、そのバスを鉄橋と一緒に撮影しようではないか。鉄橋のスケールが大きく、全景を入れて撮るとバスが米粒になってしまいそうだ。国道の脇から、バスを正面気味に、鉄橋を切り取って撮影することにした。
 今日も6月なのに、目が痛くなるくらいの晴天。雨降りよりいいけれども、これでは、海側へ行くと完全に逆光になってしまう。今日はここで上下2本の列車を撮ることができるので、ロケハンを兼ねて鉄橋の下をあちこち歩き回ってみる。
 鉄橋の下、国道沿いの海側には、公衆トイレもある公園が整備されている。その先の国道沿いには、大型バスでも大丈夫な駐車場があった。すでに、数台の観光バスが停まっている。
 さて、もうすぐ列車のやってくる時刻だ。やっぱり1枚は順光で撮っておこうと、結局最初に降りた小学校前バス停近くまで歩いて戻っていった。周りにも、数人カメラを構えている人が見える。新鉄橋の建設が始まってしまうと、山側から鉄橋をすっきり撮ることはできなくなってしまうだろう。
餘部鉄橋の下を走る全但バス
餘部鉄橋
餘部鉄橋を行くディーゼルカー 餘部鉄橋  やってきた列車は、昨日と同じエンジ色のディーゼルカー2両編成だった。今日は青空。この空にエンジ色の車体はよく映える。
 再び海側の駐車場へ行ってみると、観光バスが増えている。そういえば、初日に行った鳥取砂丘の土産物屋で「○○○のみなさん。先ほど余部鉄橋で撮影した写真ができあがって届いております。是非ご覧ください」と放送しているのが聞こえた。鉄橋見学をして砂丘に行くのが、観光コースになっているのだろう。
 駐車場からは、餘部駅への道順が案内されており、元気な人はホームまで登って見学してくるようだ。それ以外の人は、ガイドさんに連れられて、駅の登り口まで狭い道路を歩いている。こちらも、駅への登り口を確認したり、住宅地の中に建つ橋脚の写真を撮ったりして時間を過ごす。
 その後、国道沿いにある1986年12月に起きた、強風によるお座敷列車「みやび」の転落事故の慰霊碑を見学した。鉄橋に残ったのは重い機関車だけ。軽い客車は吹き飛ばされて、鉄橋下のカニ加工場に落ちて犠牲者を出してしまったニュース映像は、とても衝撃的だったのを覚えている。さすがに慰霊碑を撮影する気にはなれず、手を合わせてから後にした。
 その後、近くにある喫茶店で早めの昼食をとることにした。窓に向かって座れば、ちょうど窓を額縁のようにして鉄橋の姿が目に入る。今日は暑いので、冷房の入った店内がなんとも心地よい。
 店内では、餘部鉄橋のいろいろな季節の写真やポストカードを売っている。ちょっと心を惹かれたものの、結局買わずに出てしまった。
鉄橋の橋脚
13.余部小学校12:04→12:13御崎(全但バス)220円 姫路200あ・・70 トヨタ
余部小学校の御崎行きバス 余部小学校バス停  ここから、きゆろひさんのバス旅日記にあった御崎へ行くバスに乗ってみようと思う。余部小学校前バス停の時刻表は、思った以上ににぎやかだ。それというのも、余部を出た御崎行きは、いったんここまで来て折り返す。そんな関係で、香住からの余部行き、御崎からの余部行き、御崎行き、香住行きとかなりの本数の時刻が記入されているのだ。
 御崎への路線は、全但バスの時刻表にも香住〜御崎の路線として記載されているものの、やってきたのはトヨタの2ナンバーワゴン車。正面には大きく「町民バス」と書かれている。ボディーの後ろの方に、小さく全但バスの表記が着いていた。
 乗客はなく、運転士さんに「御崎に行ってみたいもので」といって乗り込む。あまるべ浜バス停を過ぎると、信号を右折して海沿いの細道に入っていく。だんだん坂道を登っていき、いつしか、下の方に海が見えるようになった。
 そんな細道の途中で、急ブレーキがかかる。「ありゃ、ヘビだな。いくら車でも、ヘビを轢くのは気持ちいいもんじゃないからな」といって、ゆっくり車を寄せながらヘビを避けて通り過ぎる。
 海に向かって、狭い谷が切れ込んでいるところがあり、そこだけは海から離れて谷の奥へと入っていく。谷を渡ると、再び海に向かって坂道を登り、少し行くと小さな広場があり、その周りに何件かの家が建っていた。そこが、終点の御崎だった。
 ドアが開くと、車内に折りたたまれていたステップが自動的に出る仕組みになっていた。ステップの下に、キャスターのようなローラーがたくさんついているだけで、電気や油圧なんか使っていない、その機械仕掛けの仕組みにほほうと感心させられてしまった。
車窓風景
14.御崎12:16→12:28余部(全但バス)220円 姫路200あ・・70 トヨタ
御崎の全但バス 御崎バス停  御崎のバス停は、仕様は全但バスと同じものの、一番上の表記が全但バスではなく香住町民バスになっている。この車のボディも、町民バスの表記の方が、数も大きさも全但バスの表記より目立つ。
 きゆろひさんのウェブサイトによると、朝夕は小学生の通学利用があるらしいのだが、平日の昼間ということで、小学生の乗車もなく乗客は自分だけ。運転士さんに「今度はどこまで」と聞かれる。「香住まで行きます」というと、余部で乗り換えだけど降りるとき220円入れてねと言われる。すぐに折り返すのを不審がられてもと思い、海の方から餘部鉄橋を見てみたくて、この路線に乗りにきたことも伝えた。
 バスは、さっき来た道を戻るだけだ。今度はあまるべ浜に向かって下り坂が続く。さっきのヘビは、もうどこかへ行ってしまったようだ。そんな下り坂の途中で、正面に餘部鉄橋が見えてきた。
 すると、そんな下り坂の途中でバスが停まってしまった。またヘビかなと思ったら「この辺りが一番よく見えるところかな」と運転士さんが言う。こちらの目的がわかって、ビューポイントでサービス停車してくれたのだ。目の高さがちょうど線路と同じくらいのところだ。お礼を言ってシャッターを切ったのが下の写真。
 バスはあまるべ浜からいったん小学校前へ行く。Uターンして、再びあまるべ浜を通り、そのまま国道を集落の終わりまで走っていく。国道の右側が広くなったところに、今朝乗ったキュービックが停まっていた。その傍らに立っていたのが「あまるべ」と書かれたバス停のポールだった。
 220円を運転席脇の運賃箱に入れて降りると、きゆろひさんのバス旅日記にあった通り、運転士さんはワゴン車から降りてきてガレージのシャッターを開けた。バックでワゴン車をしまい、ガレージを厳重に施錠する。それから、キュービックの鍵を開け車両周りの点検をして、ようやく乗車用の中ドアが開いた。
御崎の全但バス
御崎側からみた餘部鉄橋
15.余部12:33→12:50香住駅(全但バス)220+260円(御崎から通算) 姫路200か・511 いすゞ/IK COACH
バスの車内 余部にて  時刻表上は1本のバスになっている、御崎〜香住の後半部分に乗ることになる。行き先は香住港。雰囲気を変えるなら、終点まで乗って乗り継ぐというのもありだが、次のバスの始発地点が香住駅なのでやはり駅で降りることにした。
 運行前点検もあって、定刻を5分遅れて余部バス停を発車。するとすぐ、右手の集落ごしに餘部鉄橋が見えてきた。町並みよりもはるかに高い鉄橋。昨日、今日と近くからばかり鉄橋を見てきたが、離れてみるとこんな景色もアリなんだと、思わずバスの車内からシャッターを切ってしまった。
 お昼を過ぎて、多少台数は減ったものの、駐車場には観光バスやマイクロバス、自家用車が何台も停まっていた。新橋の工事が始まって、現餘部鉄橋が眺めにくくなるまで、この盛況は続くのだろう。
 今朝来た道を戻るだけだが、見る方向が違うと景色も違って見える。鎧口バス停近くの、鎧への分岐も、こちらから見るとはっきり道があるのがわかった。
 再びトンネルを2つ抜けて、坂道を下ると右手に山陰本線が姿を現す。香住高校の前を通ると、また巨大な金色のスクリューが見えてきた。写真を撮ろうとカメラを構えたが、さすがに正門の中を撮るにはバスのスピードは速すぎた。
 矢田川を渡り、商店街を抜けて右折すれば、もう香住駅は目の前だった。御崎からの通し運賃480円のうちの、残り260円を運賃箱に入れてバスを降りる。
 昼食もまだだし、1時間ほどの乗り継ぎ時間を利用して、駅から少し離れた市街地へ行って何か食べてこよう。
集落から鉄橋を眺める
16.香住駅13:45→14:34竹野駅(全但バス)500円 姫路200か・511 いすゞ/IK COACH
香住駅の全但バス 日本海へ向かって走る  街中の手作りパン屋さんで、パンを2つほど買って駅前に戻ると、すでに竹野駅の表示を出したバスが停まっていた。ナンバーを確認すると、また同じバスではないか。香住港まで行って戻ってきたようだ。
 運転士さんも同じ人。今朝から都合5回バスに乗ったが、全部同じ運転士さんだ。さすがに、何も言わないのもどうかと思い「今度は終点の竹野駅まで乗りますのでよろしく」と声をかけておく。
 狭い道路が続く香住の街中を抜けると、三姉妹船長として有名な遊覧船かすみ丸が出る香住港を通る。そこから先は、左手に日本海が見える区間が多かった。鉄道は山の中を走っていて、時々トンネルから出て駅があるといった雰囲気。鉄道から離れていても、きれいな砂浜の海水浴場がいくつもあるのが、バスの車窓からわかった。
 柴山駅バス停を出ると、次の停留所はなんと佐津駅。その間停留所がないのだ。この間は海から離れて峠越えの山の中。たしかに、付近に人家はまったく見えなかった。
 佐津駅は駅前の細道を入っていく。駅前でUターンして、踏切を渡り県道を行く。佐津の集落を過ぎると、県道は高度を増して海沿いの高いところを通る。左手の車窓に見える、弧を描いた佐津海水浴場の白い砂浜が印象的だった。
 その先でも、砂浜が見えたかと思うと、山の中の小さな峠越えをしたりと、変化に富んだ車窓を見せた。やがて竹野の街中に入り、ぐるりと一周して街外れにある竹野駅へと向かった。
2008年9月30日限りで路線廃止。香住〜相谷は香美町民バス、相谷〜竹野駅は豊岡市営バス「イナカー」として運行継続。ただし、相谷での接続は考慮されていない。
砂浜の海岸
17.竹野駅15:10→15:45城崎温泉駅(全但バス)690円 姫路200か・563 いすゞ/J-BUS(ワンステ)
竹野駅の全但バス  ここからは、バスの所属営業所が変わったようで、車両も運転士さんも別なものになった。バスはけっこう新しいワンステップバス。
 自分一人を乗せて、竹野駅を発車した。発車してすぐに竹野の市街地を通る。ここから1人乗ってきた。竹野浜で右折して、この路線も左手に日本海を見ながら走る区間が多かった。それもそのはず、かつては但馬海岸道路という有料道路だった道を走る路線なのだ。
 途中、いくつか谷間に集落があるものの、それ以外は山が海まで迫っていて、そのかなり高いところに道路が通っている。人家も見えない、日本海を思いっきり眺められる道を走っていく。もう一人のお客さんは、竹野浜を出て早々に降りてしまったので、贅沢にも貸し切り状態でこの景色を楽しんでいく。
 かなりいったところで、展望台という停留所があった。ここで、下車観光ができればうれしいのだが、定期観光バスならいざ知らず、路線バスでは叶わない。そこを過ぎると、道路は下り坂になり、マリンワールドのある日和山西口を過ぎると、かなり下ってしまった。
2008年9月30日限りで路線廃止。竹野駅〜宇日〜田久日は豊岡市営バス、宇日〜田久日〜日和山は市営デマンドバスで運行継続。日和山からは、全但バスの路線が存続。
18.城崎温泉駅16:45→17:27久美浜駅(丹後海陸交通)440円 京都200う・・・1 いすゞ/北村
城崎温泉駅前のボンネットバス 久美浜駅に到着したボンネットバス  今日は新幹線に乗る20時過ぎまで、ゆっくり食事ができそうにない。1時間ほど待ち時間があるので、季節でないことを承知で駅近くの食堂でカニ丼を頼む。しばらくすると、店の外をボンネットバスが走っていった。原則、火・水・木はボンネットバスで運行だけれども、都合で一般車になることもあるとあったので、少し心配していたのだ。
 駅前に行くと「丹後王国浪漫す号」と行き先を出したボンネットバスが停まっていた。しばし撮影をしてから「このバスに久美浜駅まで乗りたいのですが」というと、ちょっと待っててねと行き先表示を「天橋立駅」に回した。あれ、ちゃんと帰りの快速バス用の表示があったんだ。断って、再びこちらの写真を撮ることになった。
 車掌さん乗務のツーマンバスだから、きっと車内乗車券があるだろうとの予想は外れ。運賃440円を払い、定刻に城崎温泉駅前を発車した。
 ボンネットバスには何回か乗ってきたけれども、トップドア仕様のものはこれが初めて。現存するトップドア車は「伊豆の踊り子号」くらいではないだろうか。
 まずは円山川に沿って走っていく。窓を開けて乗っていく。窓からはいる風が、なんとも心地よい。豊岡駅前は、乗車専用の停留所。ドアを開けて車掌さんが「天橋立駅方面いらっしゃいませんか」と声をかけるが反応はなし。結局自分だけを乗せて、次の久美浜駅へと向かった。
 バスは国道178号線を走って久美浜駅を目指す。途中の河梨峠のトンネルで、兵庫県から京都府に入ったはずだ。定刻より少し早く久美浜駅に到着。発車までしばらく停車。この時間を利用して、ドアを閉めたところの写真を撮らせていただいた。
車内のガイドさん

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