第2日 〜2007.6.11(月)〜

岩美駅→香住駅

8.岩美駅9:53→10:01岩井温泉(日本交通)200円 鳥取22か13−70 三菱
岩美駅の日本交通 岩美温泉の看板  今日の泊まりは城崎温泉。バス旅の行程は、香住駅までを予定している。今日も温泉に寄りたいし、荷物を列車で先行してコインロッカーに入れてからバス旅の続きをしよう。といっても、コインロッカーのある山陰本線の駅は少ない。まずは、浜坂まで行ってコインロッカーに荷物を入れ、岩美まで戻ってきた。
 昨日はループ麒麟獅子とボンネットバス。いわゆる、普通の路線バスに乗るのは、このバスが初めて。4分ほど遅れて、赤とクリームに塗り分けられた日本交通のバスがやってきた。
 バスは、昨日ボンネットバスで走った道を再び走って、岩井温泉に向けて走る。乗ってしまえば8分ほどで、昨日と同じ岩井温泉バス停に到着した。
 バス停近くの広場には、岩井温泉の案内板が立っている。そこには、岩美駅と岩井温泉をかつて結んで走っていた、岩井町営軌道という軽便鉄道の説明が書いてあった。1944(昭和19)年には、線路が撤去されて運行を停止したそうで、こんな鉄道があったことはここに来るまで知らなかった。
 今日は広場の前にある「ゆかむり会館」で、岩井温泉を楽しんでいこう。入浴料300円を払って入ると、まだ新しい施設で気持ちがよい。岩井温泉は、小さなひしゃくで湯を頭からかぶる「ゆかむり」という入浴が伝統的なのだとか。先ほどの、広場の案内板にもそう書いてあった。
 地元の方は、みんなそのような入浴をしているのかと、ちょっとおっかなびっくり浴場に入ってみたのだが、そんなことはなく、先客2人はごく普通に入浴されていた。ちょっと安心して、こちらも入浴する。次のバスは、国道沿いのバス停〜なので、少し早めに出てバス停に向かう。
ゆかむり会館
徒歩 岩井温泉(路線・バス停)→岩井(急行・バス停) 約450m
岩井温泉の地図 長者寮入口バス停  次に乗るのは、鳥取と兵庫県の湯村温泉を結ぶ「湯けむりエクスプレス」という急行バスだ。日本交通と全但バスの共同運行で、1日6往復が運行されている。
 ただ、急行バスということで温泉街には入らず、バス停が国道のバイパスにある。そこまで歩いていく途中に、長者寮入口というバス停があった。これは、岩井温泉の先、蕪島というところへいく路線バスのバス停だ。
 この道は、昨日ボンネットバスで東浜駅から岩井温泉に来るとき走ってきた道だ。その道がバイパスと交差するところで左右を見渡せば、左側にバス停が見える。どうやら、あれが急行バスのバス停のようだ。交通量はあるが歩道もあるので、バスを待つのに心配はなさそうだ。
9.岩井11:03→11:23湯村温泉(湯めぐりエクスプレス:全但バス)600円 姫路22あ20−41 いすゞ
岩井の全但バス 岩井(国道)バス停  バス停に行ってみると、うっすらと桜谷団地の文字が見える。一瞬、ここは別のバス停なのかと焦ったが、貼られている時刻表の上部には、小さく「岩井」と書かれていた。どうやら、別のバス停のポールを流用したのだろう。
 さて、次のバスは日本交通なのか、全但バスなのか。ほぼ、予定の時刻に姿を現したのは、全但バスのスーパーハイデッカーだった。行き先表示は全但。フロントガラスには1号車を示す表示があったから、これは貸し切りバスだと思ってしまった。ところが、バス停前に停まりドアを開けたからびっくり。運転士さんに「これ湯村温泉行きですか」と確認してから乗り込んだ。
 車内は枕カバーに座席番号が表示され、後部にはトイレもある高速バス仕様。補助席もなく、たいへんゆったりした造りだ。押しボタンはあるものの、整理券がなかったり、運賃表示器が作動していないなど、どうも不思議なバスだ。
 ただ、この「湯けむりエクスプレス」。便によってはノンステップの路線車が使われることもあるそうなので、そういう意味では上等の部類に入る車両に当たったようだ。
 岩井から湯村温泉までは、20分ほど。鳥取へ行くよりも近いのだ。走り始めてしばらく行くと、鳥取・兵庫県境の蒲生トンネルに入る。トンネルを抜けて兵庫県に入ると、道路は下り坂になる。
 そんな下り坂の途中にある千原バス停で降車ボタンが押され、お客さんが降りていく。整理券もなく運賃表示器も作動していないので、運転士さんに乗車停留所を告げて運賃を払っている。
 湯村温泉が近づいたようだ。右手の下の方が温泉街のようで、国道は温泉街を避けて一段高いところを通っている。バスはその国道を行く。その国道沿いに、全但バスの湯村温泉ターミナルがあった。バスを降りて、このバスの正体がわかった。車体に書かれた湯村温泉⇔鳥取の鳥取がマグネットシートになっている。その下の文字は、大阪か神戸なのだろう。
2008年9月30日限りで全但バスが撤退。日本交通の単独運行になる。
湯めぐりエクスプレスの車内
見学 湯村温泉・荒湯
湯村温泉・荒湯 湯村温泉・荒湯  湯村温泉では、2時間弱の時間がある。当初は温泉入浴と昼食をここでと思っていた。坂道と階段を下りて、下の道沿いの温泉街に行ってみると、いろいろ見所がありそう。
 今日はすでに岩井温泉に入っているし、なんだかもう1回衣服を脱いで入浴するのが、なんだか面倒に思えてきた。川沿いまで行くと、土産物屋に「たまご」という貼り紙が見えるようになった。
 川沿いに歩いていくと、「荒湯」という、高温の温泉がわき出しているところがある。その川沿いは、足湯になっていた。その荒湯にビニールのひもが何本かたれている。これは何とのぞくと、その下にはネットに入った卵があった。そうか、土産物屋で生卵を買って、ここで自分でゆで卵にできるのだ。
 それなら自分もと、先ほどの土産物屋に行って卵を買ってくる。荒湯には固さごとの目安時間が書いてあった。
 さあ、目安の時間が来て、そのゆで卵を持って下の足湯へ。足湯につかりながら、まだ熱々のゆで卵を食べる。6月とはいっても今日はいい天気。とても気分のよいお昼になった。
 さすがにゆで卵だけで昼食というわけにはいかない。階段の途中にあるうどんやさんで、うどんと丼の昼食をとる。
 路地のような狭い階段を上って行く。いつしか上の国道に出て、少し歩けばバスターミナルに着いた。大阪・神戸への高速バスも出るターミナルで、出札窓口と待合室があったので、回数券を買っておいた。
荒湯たまご
10.湯村温泉13:10→13:26和田(全但バス)560円 姫路22あ18−77 いすゞ/IK COACH
湯村温泉の全但バス  次に乗るのは、八鹿駅行きのバス。すでにターミナル前に停まって中扉を開けていた。運転士さんはいないが、どうやら乗り込んでもよいようで、すでに前寄りには温泉帰りのご婦人の団体が陣取っていた。
 時間になり、バスターミナルを発車。谷間の国道9号線を、バスは快調に走っていく。今回は終点まで乗らず、途中の和田というところで乗り換えなければ行けない。いったいどういうところなのか。行ったところのないところだけに、うまく乗り継げるのか、ちょっと心配だ。
 谷間を上っていくと1700mあまりの春来トンネルに入る。ここを抜けると、湯村温泉や浜坂がある新温泉町から、香住や餘部のある香美町に入る。
 トンネルを抜けて坂道を下っていくと、少しずつ建物が見えてきた。どうやら和田に近づいたらしい。路線図と地図を見比べても、この辺りの全但バスの経路がよくわからない。
 やがて車内放送が「次は和田。香住方面はお乗り換えです」と流れた。ちゃんと乗り換え停留所になっているのなら大丈夫だろう。降りるとき、運転士さんに香住方面のバス停の位置を確認すると、道路の反対側だと教えてくれた。
11.和田13:43→14:35香住駅(全但バス)840円 姫路22あ14−60 いすゞ/川崎車体
和田の全但バス 全但バスの営業所跡?  停留所のあるところは、国道から脇道に入ったところ。空き地にはプレハブ小屋が建ち、全但バス村岡営業所と書かれている。しかしながら、カーテンが引かれ誰もいない様子。お客様用待合室もガランとしており、何より入口前には1m近い草が生え、もうかなり使われていないようだ。
 やってきたバスは、先ほどと同じキュービックだが、車内のプレートを見るとこちらのボディは川崎車体のもの。かなり使い込まれた車両のようだ。中ドアの窓は横引き戸になっており、小さいながら車掌台がある。かつてはツーマン兼用車だったのだろうか。
 射添小学校バス停から幼稚園児3人が乗ってくる。バスは香住で日本海に流れる矢田川に沿って走っていく。その子たちが高津というバス停で降りるのだが、降車ボタンを誰が押すかでもめて、押したかった子が押せずに泣きそう。運転士さんがボタンをクリアしてその子に押させてあげて、なんとかその場が収まった。
 このバスは、山田口というところから山田というところまで、枝道を往復してくる。その間、片道1.5kmほど林の中の狭隘路が続く。もちろん、途中に停留所はない。いったいこの先に何があるのだろうと思っていると、いきなり小さな集落が現れて、そこが山田だった。
 バスは山田口まで来た道を戻り、再び矢田川に沿って香住を目指す。香住駅が近づくと、寺全体が円山派の美術館になっている大乗寺最寄りの応挙寺バス停を通る。途中下車したいが、あまりにもバスの本数が少なく、あきらめるしかない。
2008年9月30日限りで路線廃止。香美町民バスとして本数削減の上、運行継続。
車掌台つきのバス車内
見学 餘部駅と餘部鉄橋
餘部駅票 餘部駅からの眺め  まだ15時前だが、バス旅は香住駅で終わり。これから、浜坂駅のコインロッカーまで荷物を引き取りがてら、餘部鉄橋と餘部駅を見学してこよう。
 どうせなら、鉄橋を走り去る列車より、やってくる列車を撮りたい。ということで、先に浜坂駅まで行って荷物を引き取り、折り返し列車に乗って餘部駅で降りた。
 この駅で降りるのは、実は初めて。すでに、新鉄橋の工事が始まっており、山側の工事が始まっていた。待合室には、餘部鉄橋の横断幕が貼られている。餘部鉄橋の説明板や記念の壁画など、いろいろと見るべきものがあった。
 その後、下り列車の到着時刻にあわせて、山を少し上ったところにある撮影用のお立ち台に登る。トンネルの方から、低い唸りが聞こえてくる。トンネルを出たとたん、鉄橋に走行音が反響する。やってきたのは、豊岡色といわれるエンジ色の2両編成のディーゼルカーだった。
 この列車が浜坂で折り返してくるまで、あともうしばらく餘部駅の風景を楽しむことができた。
餘部駅の待合室
餘部鉄橋を渡るディーゼル列車

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