第2日 〜2007.9.30(日)〜

天橋立駅前→宮津駅

5.天橋立駅前8:08→9:04舟屋の里公園前(丹後海陸交通)970円(F) 京都200あ・129 三菱(ワンステ)
天橋立駅前の丹海バス 天橋立駅前バス停  天橋立駅前から、伊根湾の半島部分の先端、亀山へ行くバスに乗っていく。フリーきっぷを持っているが、使えるのは幹線部分や観光に関係ある路線だけ。この路線も、伊根から湾対岸の半島へ入りかけた伊根郵便局前までしかフリー区間になっていない。
 観光船にはまだ時間があるので、高台にある道の駅「舟屋の里」へ行って伊根湾を眺めてこよう。蒲入や経ヶ岬へ行くバスは舟屋の里公園前には立ち寄らない。半島へ行くバスでないと通らないので、意外と本数が少ない。
 今日は朝から雨。天気がよければ、右手に天橋立がきれいに見えるはずなのだが、今日は灰色の空と海の中に煙っているようだ。昨日も曇り。どうやら今回は天気には、見放されてしまったようだ。
 歩道の工事なのか、道路が鉄パイプで複雑に仕切られている傘松ケーブル下を過ぎて、江尻で左折すると右手に宮津湾が見えてきた。犀川橋をすぎると海沿いの旧道を行く。今は1本山側に、トンネルで直線的に抜ける道が国道になっている。
 伊根診療所から伊根までは、伊根湾沿いの狭隘路が続く。カーブも多く、センターラインのないところがほとんど。そのため、この間は誘導車が付く。「誘導車」と書かれた軽ワゴンに、目立つオレンジの服を着た人が乗っている。対向車が来ると運転席から赤い旗を出して、停車を促している。
 今日は『丹後天橋立ツーデーマーチ』というウォーキング大会の2日目が開かれていて、伊根をスタートした人たちがちょうど歩いている時間で、車だけでなく歩行者にも気をつけて運転しなければならない。かなり運転がたいへんそうだった。
伊根のバス誘導車
6.舟屋の里公園前9:16→9:23伊根湾めぐり・日出(丹後海陸交通)200円(F) 京都22か66−46 いすゞ
舟屋の里公園から伊根湾を望む
舟屋の里公園前の丹海バス  舟屋の里公園前から道の駅までは緩い坂道を300mほど行かなければならない。折り返しのバスまで20分弱。道の駅をのぞく時間はないものの、高台から伊根湾を眺めるだけなら大丈夫だ。
 道の駅の駐車場から伊根湾を眺める。湾の海面ぎりぎりまで家がびっしりと立ち並んでいる。1階部分が湾に向かってガレージになっている家が多い。あれが船のガレージのある家「舟屋」なんだと、初めて見る風景に感動してしまう。
 その舟屋の街並みをこちらに向かって走ってくるバスが見える。あれがこれから乗るバスだ。この後坂道を登ってここまで来るには数分かかるだろうが、そろそろバス停に戻った方が良さそうだ。
 当然、先ほどのバスの折り返しと思ったのだが、別のバスがやってきた。乗客はいない。坂を下って伊根バス停に来ると、再び誘導車が前を走る。
 伊根の街中の狭い道を、誘導車に誘導されながら走っていく。そんな街並みが途切れて左手に伊根湾が見えた、伊根湾めぐり・日出バス停で降りる。
7.日出駅9:30→9:55日出駅(丹後海陸交通)660円(F) かもめ10号 本瓦造船
丹後海陸交通の遊覧船 伊根駅  伊根湾めぐりの観光船も丹後海陸交通がやっている。その名の通り、海も陸も同じやっている会社なのだ。9:00〜16:00、30分間隔の運行だという。しかも冬場をのぞいて毎日。
 乗客が少なかったら運休するのではと思ったのだが、30分間隔が定期便で他客時は15分毎なのだとか。9:30の便も6人グループと自分の7人だけで出航となった。少人数でもきちんと時間通り運行するから、お客さんも安心して乗りに来るのだろう。
 雨もさほど気にならないので、後部の展望デッキに座っていく。出港するとすぐに、円形のいけすが浮かぶ中を進んで行く。青島という島を過ぎると、右手に亀山の灯台が見えてきた。そこを過ぎると、いよいよ舟屋が近くに見えてくる。
 何でも道路を挟んで、山側に母屋、海側に舟屋が建っているのだとか。それこそ、車が発達するまでは舟屋がその家の玄関で、人の行き来はみな「自家用船」が交通手段だったのだとか。舟屋は今でも住宅として使われているから、望遠レンズで家の中を撮影しないようにとの注意がある。
 これで天気がよければと、それだけが何とも残念。それでも、海上からだと舟屋の様子がよくわかる。船が係留され、いまでも「舟屋」として現役の家がかなり多いのだということが実感できた。
 運航時間は25分ということだったが、時間通りに出港した日出駅へ戻る。船を下りると、ちょうど観光バスが到着したところだった。
伊根湾の風景
伊根湾の舟屋
地元のお母さんの店『いー○わーね』(「○わ」は、○のなかに「わ」の文字)
いーわーね いかめしやひじきコロッケ  昨日、天橋立駅の観光案内所にあった「食遊楽里(くゆらり)2007.6夏Vol.5」という情報誌に、遊覧船乗り場の前に「い−○わーね」という、地元のおばちゃんたちが手作り調理したものを売る店があるとあった。土・日・月・祝の9〜16時の営業だそうで、そこで朝ご飯をと思っていたのだ。
 ところが、先ほど着いたときは閉まっていた。夏期間以外は休みかなと思っていたのだが、今見るとしっかり開店している。ちょっと遅めの朝食としよう。
 イカの切り身の入ったイカご飯(250円)。揚げたての鰯のつみれ揚げ(200円)。これも揚げたてひじきコロッケ(70円)。ここで食べたいのだがというと、丸テーブルに麦茶まで用意してくれた。どれも、ソースとか醤油をかけなくてもちょうどよいように味付けされている。いやあ、おいしかった。ホテルのバイキングもわるくはないが、こういう朝食もなかなかいいなと思った。
8.伊根湾めぐり・日出10:45→11:39文殊(丹後海陸交通)910円(F) 京都200か・171 いすゞ(ワンステ)
バス誘導車 伊根湾めぐり・日出バス停  再びバスに乗って、今朝来た道を戻る。バスの発車時刻が近づく。あの軽ワゴンの誘導車と、その後ろにバスがやってくるのが見えた。
 やってきたのは、昨日乗ったのと同じいすゞのワンステップバス。車内の乗客は、数えるほどしかいない。
 昨日から伊根〜天橋立間に乗るのは、これで3回目。本当にフリーきっぷでなければ、こんな乗り方はしないなと思う。片道乗っただけで900円以上するのだもの。ウェブサイトには記載がないものの、フリーきっぷの裏面には「通院、通学、通勤には、ご使用になれません。」の表示がある。
 ただ、どうやって運転士さんが利用目的を判断するのかはわからない。下車停留所で判断するのか、それとも別の方法があるのか。たずねてみたい気もしたが、企業秘密事項かもしれないので止めておいた。
 再び、天橋立が見えてきた。朝よりもさらに天候が悪化したようで、対岸がかすんでよく見えない。これから、高いところに登って天橋立を見ようと思っているのに、本当にこの天気はうらめしい。与謝の海病院に寄るものの、日曜日なので乗降なし。
 今回は、天橋立の両側の高台に登る予定。そんなこともあって、最初は天橋立駅の1つ先の文殊バス停まで乗っていくことにする。駅側の高台にある、天橋立ビューランドにまず行ってこよう。
 天橋立駅から徒歩5分とあるものの、バスの場合は1つ宮津寄りの文殊バス停で降りれば、それこそ踏切を渡ってすぐのところなので徒歩2分くらいになる。
伊根湾めぐり・日出の丹海バス
9.リフト:下駅11:45→11:51上駅(天橋立ビューランド)700円(入園料込み・インターネット割引)
下駅 ビューランド入場券  北近畿タンゴ鉄道の踏切を渡って少し行くと、左手に「天橋立 飛龍観 リフト・モノレールのりば」と書かれた建物が見えてきた。これが、天橋立ビューランドの入口だ。
 チケット売り場で、入園料込みの往復運賃を払う。インターネットからプリントアウトした用紙を渡して、850円が700円になる。上りはモノレール、下りは景色が広がるリフトに乗りたかったのだが、20分間隔運行のモノレールは出たばかり。
 雨も今なら小降りなので、上りにリフトを使おう。モノレールの所要時間は8分だが、リフトなら6分。リフトの方が速いから、途中で追いつくかもしれない。カメラを首から提げていこう。
 やってくるリフトは雨で濡れているが、係の方が動いている座面をぞうきんで拭いてくれる。きれいになったところに、どうぞと案内されて乗り込む。
 左前方に登っていくモノレールが見える。ケーブルカーではなく自走式のようで、みかん山の歯車式レールを使ったもののようだ。たしかにレールは1本だから、モノレールという表現なのだろう。残念ながら追いつくことはなく、少し遅れて上駅に到着した。
モノレールとリフト
ビューランドから天橋立を望む
ビューランドから望む天橋立
ビューランドから宮津を望む  山の上は遊園地になっている。といってもたいへん規模の小さなもの。浅草花やしきよりさらに小規模だ。
 こちら側から見た天橋立を飛龍観というそうで、どうせならもっと高いところから見たいと、観覧車に乗ってみた。大人4人で乗ったら身動きできなくなりそうな小さなゴンドラに、300円の乗車券を買って1人で乗り込む。
 一番高いところでシャッターを切る。気がつけば、真下に天橋立駅が見えるではないか。駅を入れて撮ろうと思ったら、みるみる高度が下がって駅が見えなくなってしまった。1周4分半のミニサイズ。ちょうどよい撮影ポイントは1分ほどしかなかった。
 宮津方面展望台と書かれている藤棚のところへ行けば、確かに宮津港が見える。こちらも1枚スナップしておく。コースターやゴーカート等のむき出しの遊具は、軒並み雨天運休。まあ、やっていても観覧車以外は1人で乗ってみようというものはなかったけれど。
 展望レストランで昼食をとって、定員制のモノレールの乗り場に、少し早めに行って待つことにした。
10.モノレール:上駅12:50→12:58下駅(天橋立ビューランド) モノレール工業
モノレール モノレールと天橋立  上駅からのモノレールは、毎時10,30,50分の発車。12:50に乗りたいと10分ほど前から待つことにした。ところが、それほど列は伸びない。1便当たりの乗車人数は16人。これなら大丈夫そうだと、列を離れてまずは写真撮影
 ヘッドというか足下にライトをつけた、2両編成(2段編成?)のモノレールがやってきた。駆動輪用のレールは1本のようだが、横揺れ防止用なのか両脇に細いレール状のものが見えるから、3レールなのかもしれない。
 さて、そろそろ時間かなと乗り場へ向かう。係員の方が前へと言う。もう乗客はいないので、後ろの車両はダメかと聞くとダメとのこと。前から順番に8人乗って、満席にならないと後ろの車両に乗せてくれないようだ。けっきょく、前は満席。後ろは2人を乗せて、定刻に上駅を発車した。
 案の定、動きはゆっくりといった感じ。左右の揺れはほとんど感じない。片側4人ずつのロングシートタイプの座席に座って、斜面を下っていく。先ほどより雨が強くなったようで、リフトで登ってくる人は傘をさしたりしているものの、みんなびしょ濡れになっているようだ。
 案内通り8分で下駅に到着。こちらには、階段までずらりと乗車のお客さんが並んでいる。雨が強くなったので、モノレールに集まってしまったのだろう。1回16人。1時間に3便だから、48人/時しか輸送能力はない。これだけの人を運ぶのは大変だなあと、脇を通りながら思う。
 建物を出て振り返ると、まだモノレールが発車していない。そういえば、モノレールが停まっている駅舎の写真は撮っていなかったと、あわててスナップする。
下駅に着いたモノレール
11.天橋立13:15→13:27一の宮(丹後海陸交通)520円(F) かもめ1号 杢兵衛造船所
一の宮に着いたかもめ1号 天橋立の水路  天橋立に沿って阿蘇海を行く航路も、丹後海陸交通が運行している。もちろん、フリーきっぷで利用可能だ。ということで、今度は船から天橋立を眺めて、対岸の傘松展望台から眺めてみよう。
 船乗り場へと土産物屋が軒を連ねる通りを歩いていく。丹海の乗り場の手前に、モーターボートの乗り場がいくつもあり、お客の獲得合戦がなかなか激しい。こちらは1人。1人でモーターボートを貸し切ることはなかろうと、こちらに声をかけてくる人がいないのは助かる。
 出札口や待合室のある丹海の乗船場は、旋回橋のすぐ先だった。ちょうど、ツーデーマーチの参加者たちがゴールしたところなのか、それらしい人がたくさんいる。待合室にも何人かいるので、次の船に乗るものだと思っていた。ところが、船が着いて改札が始まると、乗り込んだのは3人だけだった。
 定期航路だから、3人でもちゃんと時刻になると出港する。天橋立の陸地側、阿蘇海と呼ばれる内海を走っていく。天気は悪いけれどもほとんど波はない。天橋立に来るのは、それこそ約25年ぶりのこと。当時は、あんまりお金のない学生。片道はこの天橋立を歩いて渡り、片道は岩滝口までバスに乗って国鉄に乗り換えた記憶がある。
 だから、ゆっくり眺めるのは今回が初めてといってもいい。どこまでも松並木が続いて、海を隔てているのがよくわかる。遊歩道や、ところどころ置かれているベンチまで、船から見えるではないか。わずか12分で着いてしまうのが、ちょっともったいなく感じてしまった。
天橋立の松並木
12.府中13:45→13:52傘松(丹後海陸交通)320円(F) 2 アルナ工機
ケーブル2号  船だと一の宮、バスだとケーブル下。そしてケーブルカーの駅が府中とすべて異なっている。でも、場所はどれもほとんど同じところにある。
 一の宮駅を出て国道を横切り、籠神社を左に曲がって少し行くと、そこがケーブルカーとリフトの府中駅だった。これも丹後海陸交通の運行だから、フリーきっぷを利用することができる。
 こちらもケーブルカーとリフト併設だから、上りと下りで乗り分けようと思っていたのだが、雨天でリフトは運休中と出ている。往復ケーブルカーに乗るしかないのは残念だ。
 次の発車は13:45。こちらはビューランドとは比べものにならないほど、お客さんが待っている。心配になって早めに改札を入る。やがて、けっこう小振りな車両がやってきた。
 通路まで立ち客でぎっしりになって、定刻に発車する。ケーブルカー独特の、カクンと軽い衝撃がある静かなスタートだ。
 今乗っているのが2号。途中で1号とすれ違う。あちらもまったく同じ車両。ケーブルカーは1台ずつ塗色やデザインを変えている会社が多いなか、2台とも見た目の同じ車両がいったり来たりしているところは、少数派じゃないだろうか。
13.傘松13:55→14:02成相寺(丹後海陸交通)1100円(往復700F+入山料400)京都200か・998 いすゞ/J-BUS
傘松の登山バス 改札口のある傘松バス乗り場  傘松展望台から天橋立を見てみるものの、さらに天候が悪化して対岸が煙ってしまい見えない。これなら、先に登山バスに乗って成相寺に行ってしまおう。
 ケーブルカーの駅舎のすぐそばに、登山バスの傘松駅があった。出札口やなんと改札口まである。バスという寄り鉄道の駅のようだ。
 改札口でフリーきっぷを見せると「760円です」という。えっ、これはバスは乗り放題なので、入山料だけでいいはずなのだが。「これはバスも乗れるフリーきっぷですが」というと「400円」と言い直して拝観券とパンフレットをくれた。
 丹後海陸交通の3種類のフリーきっぷのうち、天橋立フリーと丹後半島・天橋立フリーは登山バスも乗り放題。天橋立・伊根湾フリーは登山バス割引乗車と扱いが分かれているのが間違いの元。全部フリー乗車にしてくれればいいのにと思うのだが。まあ、それよりも出札口の人が間違いなく案内してくれれば済む話ではあるけれども。
 時間になってやってきたのは、リエッセと思ったら同型のいすゞジャーニーJだった。他の丹海バスとは違い、登山バス専用塗色で、ボディには五重塔などが描かれていた。
 発車してすぐ、あっけにとられてしまった。なんと狭くて急な上り坂を行くのかと。滑り止めなのか、線路のようにタイヤ部分にブロック状の石が敷き詰められている。登山道の途中に山門があり、自動車道はそこだけ右に大きく迂回している。さらに登った五重塔の先のT字路が、バスの終点だった。降りるとき「帰りの乗り場はこの下ですから」と案内してくれた。
成相寺についた登山バス
成相寺
成相寺 成相寺の拝観券  雨が降っていなければ、ゆっくりしていきたいところなのだが、天気も悪く気温も下がってきた。
 バスを降りてすぐのところに、撞かずの鐘がある。といっても鐘そのものはお堂の中で見ることはできない。その由来が書いてあり、それを読んで想像するしかない。
 石段を登って本堂に行く。まあ、ここまで来たからには、お参りしていかないと。信心深いわけではなく、バスが走っているから来てしまったというだけなのだが。せっかく来たからには、どんなところか見たり読んだりしていきたい。
 お参りしてしまうと、これといって行くところがない。日本一のパノラマ展望所というのがあるのだが、車で5分、徒歩だと20分かかるという。この天気ではパノラマを期待できるはずもなく、傘をさして20分上り坂を歩く気にもなれない。
 駐車場のトイレに寄り道しながら、バス停のさらに下にある五重塔を見学に行く。鎌倉時代の形式そのままに1998年4月に再建された平成五重塔。2005年10月に落慶法会がおこなわれたそうで、ひときわ新しさが感じられた。雨のせいで、少し灰色がかった景色の中に、五重塔の朱色が鮮やかに浮かんでいるように見えた。
 一の宮からの船が16:15。まだまだ時間があるので、速く山を下ってもすることがない。とりあえず東屋風になっているバス停へ向かう。温かいコーヒーでも飲みたい気分なのだが、9月の自動販売機はまだ「冷たい」が並んでいるだけだった。
 やがてバスがやってきた。これに乗ってもいいのだが、先客がいたので1本見送る。15分間隔で走っているから、次でいいやという気になってしまう。どうせなら、一番前に座って、登山道を眺めてみたいという気持ちがあったのだ。しばらく待つと、先ほどと違うバスがやってきた。
成相寺の五重塔
14.成相寺14:50→14:57傘松(丹後海陸交通) 往復きっぷ 京都200か・999 いすゞ/J-BUS
成相寺の登山バス 成相寺バス停  傘松のバス乗り場の奥に車庫があり、そこにジャーニーJが2台と大型バスが1台停まっているのが見えた。登山道は途中すれ違えるところがないから、1台のバスが行ったり来たりしているものと思っていた。
 ところが、今度はもう1台のジャーニーJがやってきたのだ。運転士さんの交代があったのか、とにかく1日で2台に乗れるとは運がよい。先ほどのバスは、紫のラインに写真が貼り付けてあったのだが、今度のバスは青いラインに変わっている。
 時間になり、自分だけを乗せて発車する。ドア側の一番前に座って、登山道を眺めていく。山門を過ぎると、ブロック状の石が敷かれた路面に変わる。バス1台の道幅しかないから、濡れた道を慎重に下っていく。
 カーブにさしかかると、眼下に宮津湾が広がっている。登るときはまったく気づかなかった。こんなパノラマが広がっていたなんて。晴れていたら、どんなにきれいな風景なのだろうと、この天気が本当に残念だ。
 数カ所、宮津湾を望むところがあった。やがて、路面は普通の舗装路になって傘松に到着した。先ほどのバスは、車庫に停まっている。もう1台の大型バスは、よほどのことがないと出てこないのだろう。ここにいるからには、あの車両でも登山道を通ることはできるのだろうけれども、かなり大変そうだ。
 バスの乗り場では、登山バスの発車案内があるものの、この天候では乗客もあまり集まらない。バスも船も、乗客が少なくとも時間通りの運行してくれることが、公共交通機関を使って旅をする人を増やすことにつながると思う。
登山道
傘松展望台から見た天橋立
ケーブルカーと天橋立
傘松展望台から見た天橋立  再び傘松展望台に行くと、先ほどより雲が切れたようだ。対岸が見えるようになった。先ほど乗った、ビューランドのリフトが斜面に一直線に走っているのが見えるようになった。
 せっかくだから、ケーブルカーを入れて写真を撮っておこう。傘松駅に近いところは、枝が多くてかえって撮りにくかった。ちょっと下ったところ、枝の隙間にケーブルカーが見えたところで1枚スナップしておく。
 ちなみに、成相寺に行く前に撮った写真が左下。対岸がかすんでしまい、ビューランドが全く見えない状態だった。
 しばらく展望台の売店を眺めたりして時間を過ごす。駅舎の上にはレストランがあるものの、そこに入って時間をつぶすほど疲れてはいないし。改札口をのぞくと、すごい列ができている。どうやら、上ってきた団体さんがバスの時間に合わせて、下り便に集まってきたようだ。
 これは、少し早めに降りた方が良さそうだ。せっかくだから、行きとは違う車両に乗っていこう。行きは2号だったから、1号の便に乗っていこう。行きは臨時便が出ていたのだが、今は定期便のみの15分間隔で運転とのこと。
15.傘松15:15→15:22府中(丹後海陸交通) 320円(F) 1 アルナ工機
府中駅の1号 ケーブルカーの行き違い  15:15の便が1号車での運転。ということで、これに乗っていくことにした。すでに通路に立ち客がいる状態だが、行きよりも空いている。
 発車してすぐは勾配が急だ。それでも、倒れるほどではない。交換地点を過ぎると、勾配がだんだん緩くなってくる。車両も小さいが所要時間も4分ほどと短い。
 到着した府中駅は、ケーブルカーの駅では珍しい斜面ホームの駅。一般的なケーブルカーの駅は、勾配が急なので階段状のホームになっていることが多く、斜面になっているのは大変珍しいそうだ。
 またホームの、線路の先端にあたるところに、かつて使われていたケーブルの操作盤が置いてあり、ご自由に触れて下さいと書いてある。ケーブルカーに乗る人は直接車両に行ってしまうし、降りた人もほとんど見ることもなく出口へ向かってしまう。鉄な人しか興味を持ってくれないのかもしれない。
府中駅
16.一の宮16:15→16:37宮津(丹後海陸交通) 810円(F) かもめ12号
一の宮桟橋 一日数本の宮津行き  一の宮から天橋立までの船はたくさんあるが、その先宮津まで行く船は、この時期は1日2本しかない。その貴重な宮津行きに乗りたい。出港は16:15だから、まだ30分以上ある。
 気温も下がって温かいものが飲みたい。一の宮駅の前にある土産物屋の一角が喫茶室になっている。ここはなんだかコーヒーという気がせず、温かいぜんざいを注文する。ホッとした気持ちになった。
 今度の船は、双胴船のかもめ12号。先ほどとは違い、2階が展望デッキになっている。団体さんも大勢乗船するようだし、ここは2階デッキでもう一度天橋立を眺めていこう。
 展望デッキにも団体さんの何人かがやってきた。どうやら外国の方らしい。人がたくさん乗っているからか、カモメがまわりを飛んでいる。そういえば、船内でカモメの餌を売っていた。これだけ飛んでいるとかまってやりたくなった。
 1階船室の一番後ろにセルフサービスでえびせんの小袋を売っている。100円入れて一袋買ってくる。展望デッキで袋を開けると、来ること来ること。次から次へと飛んでくる。投げればナイスキャッチ。格好の被写体を提供することになってしまった。
 やがて、天橋立が近づいてくる。カモメも知っているのか、船から遠ざかっていった。天橋立に到着すると、団体さんをはじめほとんどの人が降りてしまった。係の方が巡回して「宮津ですね」と確認していく。どうやら、宮津までの乗客は3人しかいないようだ。
 数少ない乗客を乗せて宮津へ向けて、船は天橋立駅を出港した。
宮津に着いたかもめ12号
文殊水路を行く
天橋立駅 廻旋橋  海跡湖である阿蘇海から外海の宮津湾に出る唯一の水路が、これから通る文殊水路。旋回橋が回転して、水路への進路が開く。いよいよ宮津へ向けて出港だ。
 水路ということで、見た目は広めの川のよう。ただ、展望デッキから水路を見ると、いくつもクラゲが浮かんでいる。川ではなく、ここは海なのだと実感する。
 双胴船が走ると、水路に波が立つ。それが水路に護岸に当たり音を立てる。阿蘇海を走っているときは小さく感じた船も、水路を走るときは大きく感じる。すでに2階デッキにいるのは自分だけ。先頭に立って景色を眺めていくと、なんだかすごく贅沢な気持ちになれた。
 やがて水路が終わり宮津湾に出るというところで、こちらにやってくる観光船と行き違う。向こうは誰も乗っておらず、回送のようだった。
 正面に先ほどビューランドから眺めた、白い帆を張ったような文化ホールの建物が見えてきた。その建物の右側、ショッピングセンターの海側が観光船の宮津駅だった。1日2本しか船がないのだけれども、桟橋は屋根がついた立派なものだった。
 接岸し宮津到着の案内がある。立派な出札口があるが、待合室は無人。わずか数分で折り返す船が、1日2便しかない宮津航路の最終便だった。
 建物には宮津桟橋の文字があるものの、宮津桟橋バス停はこの建物の前にはなかった。どうやら国道まででなければいけないらしい。
文殊水路を行く
17.宮津桟橋16:56→17:00宮津駅(丹後海陸交通) 150円(F) 京都200あ・128 三菱(ワンステ)
宮津桟橋 宮津桟橋バス停  ショッピングセンターの脇を通って国道へ出ると、宮津桟橋バス停はすぐに見つかった。屋根のついたそこそこ立派なバス停だ。
 宮津桟橋の次のバス停が宮津駅。乗るのはたった1区間だけなのだが、駅はそれほど近くではないようだ。途中停留所がないにもかかわらず、時刻表の上では4分かかっている。
 そこで、フリーきっぷもあるので駅までバスで行くことにしたのだ。各方面から宮津駅へ向かうバスが通るので、そこそこ本数が多い。やってきたのは、峰山駅前からの25系統。峰山駅前〜岩滝はフリーきっぷの範囲外だけれども、ここからなら問題なく乗車できる。
 今朝乗ったのと同じ、三菱のワンステップバスだ。日曜日の夕方、駅へ向かうバスなのだが、車内に乗客はなかった。バスは国道をしばらく進んでいく。やがて信号を右折してまっすぐ進むと、そこがロータリーになった宮津駅前だった。
 ここまで、時刻表通り4分で到着した。このバスは、上宮津行き。自分を降ろすとすぐに発車していった。駅前にはタクシーが何台も停まっているが、こちらも乗客は少ないようだった。ここまできて、ようやく雨も止んだ。
 3日間有効の天橋立・丹後半島フリーきっぷも、使うのは今日まで。まだ1日使えるし、乗るつもりなら明日岩滝口駅まで乗れるのだけれども、十分に元はとれただろう。
 計算してみるとバス5060円、ケーブルカー640円、船1990円の合計7690円分乗せてもらった。天気は悪かったけれども、それなりに楽しめた2日間だった。
宮津桟橋の丹海バス

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