第4日 〜2009.7.24(金)〜

曽福→七尾駅

徒歩 曽福バス停→横見集会所バス停(約1km)
曽福の街並み 曽福バス停  昨夜は穴水に泊まり、のと鉄道の列車で能登鹿島まで乗って、そこから歩いて曽福バス停に到着した。能登鹿島駅からここまでは歩道もあり、歩いて10分ほどだ。
 いよいよ、ここから第4日の再開となる。まもなく穴水への1番バスの時刻。曽福の街から学校へ通う小学生や中学生が、バス停へ集まってきた。こちらは、その1番バスの到着を待たずに、穴水町と七尾市の境界を目指して歩いて行く。
 こんなことでもなければ歩くことはないだろう曽福の旧道沿いは、蔵のある家が多い。たぶん歴史のある集落なのだろう。旧道も300mほどで終わり、再び海沿いの国道に出る。
 ここから先は歩道がない。右側の路側帯を歩いて行く。700mほど歩けば、穴水町と七尾市の境界があるはずだ。右手にはのと鉄道の築堤が続いている。下り列車がやってくれば、ちょうどそれを見上げるいい角度で写真が撮れる。しかしながら、バス旅なので乗らない列車の時刻を調べてこなかった。そこへ、突然音がしてディーゼルカーが走ってきた。カメラを用意する時間もなかった。残念。
 国道の左手はすぐ七尾湾。今日、これから渡る『ツインブリッジのと』を真横から眺めることができた。車の通行量は思ったよりも多くはない。それなりの速度で走ってくる者の、危険を感じるほどでもなかった。
 やがて、道路脇に七尾市の看板が立っているのが見えた。小さな川が流れていて、その先には人家が建っている。あそこから七尾市になるようだ。その境界を越えてすぐが横見の集落。集会所を見つけるよりも早く、海沿いの細長い空き地に停まるバスが目に入ってきた。
ツインブリッジのと
23.横見集会所8:00→8:16うるおい公園(中島げんきバス)100円 石川22に・708 日野
中島げんきバス 中島げんきバスとツインブリッジのと  道路沿いの山側の建物に「横見集会所」の表示がある。ということは、あのマイクロバスが「中島げんきバス」だろう。ゴミ集積場の前の、大型車1台がちょうど収まるスペースに停まっているバスに近づき「これが中島げんきバスですか」とたずねると間違いないとのこと。「うるおい公園までお願いします」といって、その前に何枚か写真を撮らせてもらう。
 バスは地元のタクシー会社に委託されているよだが、簡単な運賃箱もあって中島げんきバス専用に使われているようだ。バスの正面にEXCELLENT SALOONの文字があるように、窓は固定式の連続窓で、車内もちょっと上等な座席の並ぶマイクロバスだった。
 自分だけを乗せて定刻に発車。月水金と週3日運行のこのバス。どれくらい利用客がいるのかなと思っていたのだが、その先ですぐに待っている人がいた。お年寄りが多いので、後ろの方の座席に移動する。国道から1本山側の旧道に入ったところが、西岸の「明治の館」室木家。この前にもバス停があり、ここからも乗車があった。その先、だんだんと丘を登っていき、ほぼ定刻にうるおい公園に到着した。
中島げんきバス
見学 うるおい公園から見た『ツインブリッジのと』
うるおい公園から見たツインブリッジのと
 「ツインブリッジのと」の正式名称は『中能登農道橋』。国道でも県道でもない、農道の吊り橋なのだ。1999年3月に、能登半島と能登島を結ぶ2つ目の橋として完成した。その能登半島側の付け根にあるのが「うるおい公園」で、売店と食堂、それに展望台があった。この写真は、その展望台から撮ったもの。
徒歩 うるおい公園→ツインブリッジのと→百万石バス停(約1.7km)
ツインブリッジのとから見る七尾湾
橋の標識 能登島のゲート
百万石バス停  『ツインブリッジのと』は、能登島に向かって右側に歩道がある。だから、安心して歩いて渡ることができる。しかも、橋上は「駐停車禁止」となっているから、ゆっくり風景を眺めたり写真を撮ったりできるのは、歩道を歩くか自転車で走るしかない。橋の途中で立ち止まって写真を撮っていると、乗用車や観光バスが走り抜けていく。ゆっくり写真を撮れることに、ちょっとだけ優越感を感じる。
 ここを境に、右手が能登西湾で左手が能登北湾というらしい。上の写真は、能登西湾を撮ったもので、肉眼では能登島大橋が見えたのだが、コンパクトデジカメのレンズでは、曇った空に溶け込んでしまってよくわからなくなってしまった。
 橋を渡ったところに、能登島の歓迎ゲートがあり、センサーで通過する車の台数を表示している。あくまでも車だけで、徒歩の人間はカウントされなかった。そのゲートの先に十字路がある。ここを左へ曲がってしばらく行けば、通バス停があるはずだ。しかし、まだバスまで時間があるし、少しでも長く乗っていたい。そんなこともあって、そのまま直進していく。
 ゆるい登り坂を400mほど進むと、風景が開けてT字路に突き当たる。そこを左に曲がってわずかに坂を下ったところが百万石バス停だった。待合小屋も建っていて、しっかりしたバス停だった。
24.百万石10:05→10:32マリンパーク島の湯(能登島交通)710円 石川200か・404 日野/J-BUS(ノンステ)
百万石の能登島交通 通から見るツインブリッジのと  これから乗るのは、マリンパーク島の湯行きのバス。南線といい、島の北部にある南という集落へ行く路線だったのだが、この4月から1日2便だけマリンパーク島の湯まで行くようになった。
 待合小屋の中にお知らせがあり、その理由がわかった。3月いっぱいで福祉循環バスが廃止され、その代わり健康センター、診療所、歯科医、市民センター、島の湯を利用する住人が100円で利用できるようになったのだという。そのため、祖母ヶ浦線は起点が向田宮の前から島の湯に変更され、南線も区間延長されたのだ。
 やってきたバスの行き先は、南のままだった。乗客はなかった。住民でもない客が途中から乗るのは不思議に思われるだろうからと、乗り込むときに「ツインブリッジを渡ってきました。島の湯までお願いします」と言っておく。
 いったん北端まで行って反時計回りに走る。通バス停ではツインブリッジのとがちらりと見えた。小さな入り江をいくつも見ながら南へと向かう。そこからは放送ナシ。島の中央部を横切って、島の南側にある島の湯へ向かう。新設区間は別運賃合算制だそうで、けっこう高い。
島の湯の能登島交通
入浴 マリンパーク島の湯(入湯料:450円)
マリンパーク島の湯  時間は30分ほどしかないが、せっかくここまで来たのだから温泉に入っていこう。先ほどのバスの運転士さんによると、「和倉よりお湯がいい」といって入りに来る人がいるくらいなのだと教えてくれた。
 天気は曇り、こんな日は日差しを気にせずに露天風呂に入れるのがうれしい。金曜日の午前中、まだそれほど混んでおらず、露天風呂は2人しかいない。向こうに見える能登半島の景色を眺めながら、ゆったりと温泉に入る。
 今日は昼食がちょっと不安。どこで食べるか、あまりまとまった時間がとれていない。ここにも食堂があり、食堂利用も入浴券が必要の旨が書いてある。時間があれば、ここで早めのとも考えていたのだが、やはり時間がなさすぎる。
 バスは少しは遅れるだろうからと、発車予定時刻の5分前まで温泉を楽しんで、食事はどうにかなるさとバス停へ向かった。
 バス停に着くとすぐに目的のバスの姿が見えた。でも、バスは先の駐車場まで行って回転してからやってくる。十分余裕を持って、バスに乗ることが出来た。
25.マリンパーク島の湯11:09→11:24のとじま臨海公園(能登島交通)290円 石川200か・275 日野/J-BUS
マリンパーク島の湯の能登島交通 マリンパーク島の湯バス停  再び、島の北側にある「のとじま臨海公園」ゆきに乗っていく。方向幕に「行」「ゆき」まで書かれている数少ない会社だ。「行」は、地元の都自動車や宗谷バスなど何回かあるが、「ゆき」は北海道の津別町営バスで見たきり。全国的にも少ないのではないかと思う。
 ここから島の北側に抜ける道が、能登島のメインロードのようで、郵便局や銀行、旧町役場だった市役所の支所などが建っている。帰りに乗り継ぐ予定の、向田宮の前バス停付近には商店もあるようで、何とか食事もできるかもしれない、と思ったのが甘かった。
 その先で、バスはいったん左側の高台に上がっていく。ここが道の駅やガラス美術館のあるところ。美術館で降りる人がいるので、一番上の美術館入口まで行ってドアを開ける。運転士さんは、乗車は階段下にあるバス停からと、観光客に説明していた。行き先はのとじま臨海公園だが、実際はその中の中核施設「のとじま水族館」のすぐ前まで連れて行ってくれた。
見学 のとじま水族館(入館料:1190円割引)
のとじま水族館 ペンギン
イルカ ペンギンのお散歩  割引券で1割引の入園券を買う(正規なら1320円)。ゲートを入ってすぐは回遊水槽などの屋内展示ゾーンなのだが、係の方が「まもなくイルカショーがどうぞ」と呼びかけている。その声の方へ行くと、なんと出口用の通路を逆行する形でイルカのプールまで直行できるようになっていた。
 イルカショーやペンギンのおさんぽなど、大人が見てもけっこう楽しめる内容だった。展示をしっかり見ていたら、ここでも食事をする時間がなくなってしまった。売店でホットドッグと飲み物を買って、とりあえず空腹を少しだけ満たしておいた。バス停は階段を少し上るので、早めに出口に向かう。
26.のとじま臨海公園13:50→14:00向田宮の前(能登島交通)220円 石川200か・・83 日野(ワンステ)
臨海公園の能登島交通  七尾行きのバスに乗って、先ほど通った向田宮の前まで戻る。曇っていた空が晴れてきて、暑くなってきた。少し早めにバス停に来てドアを開けたバスに乗り込むと、冷房が心地よい。
 もうちょっと水族館にいたかったけれども、島の東岸を行く祖母ヶ浦線に乗るためには、これで戻らないと帰ってくることが出来なくなる。数人の乗客を乗せて、バスは定刻にのとじま臨海公園バス停を発車した。
 ここまで3台、能登島交通のバスに乗った。ノンステップバスが1台にワンステップバスが2台。島のバスということで、もっと古いバスが走っているのかと想像していたのだが、けっこうバリアフリーが進んでいる。ボディは「ひょっこり能登島」と大きく書かれ、楽しいイラストで海の生物が描かれている。見ていても楽しいバスだ。
 行きと同様、ガラス美術館に寄っていく。しかし、下車客がいなかったので上の美術館入口まで登らずに、下の乗車ポールのところで回転した。ということは、行きの上まで登った経験は貴重だったのかもしれない。
 再び海沿いの道まで下りてきて、祖母ヶ浦線との分岐点、向田宮の前バス停に到着した。
27.向田宮の前14:58→15:20祖母ヶ浦(能登島交通)490円 石川22き・934 日野
向田宮の前の能登島交通 向田宮の前バス停  バス停近くにある郵便局へ行って用事を済ませた後、近くにあった料理屋さんへ行く。のれんが出ていて入口も開いているのだが、声をかけても誰も出てこない。交差点の先にあったお好み焼き屋も同じ状況だった。
 もう14時をまわっていて、たしかに昼食時間は過ぎている。でも、まったく人がいないというのは、どうしたことか。実は、明日が「向田の火祭り」という、高さ30mの柱松明に火を点す大祭があるのだという。今日はその柱松明を立てる日で、クレーンを使ってその作業をやっている最中とのこと。たぶん、祭りの準備で忙しいのだろう。
 やがてバスがやってきた。乗り込もうとすると運転士さんから「また水族館行くの」と言われてしまった。島の湯〜宮の前は臨海公園行きと祖母ヶ浦行きが続行運転で、祖母ヶ浦は「後から来る」とのこと。
 その言葉通り、すぐに祖母ヶ浦行きがやってきた。トップドアのツーステップという、懐かしいスタイルのバスだった。乗客は中学生や買い物帰りの地元の方など、10人近い人が乗っていた。
 バスは祭り会場の先で右折して、一気に島の南岸まで出る。そこから、ほぼ島の外周に沿って反時計回りに、能登島の北東にある祖母ヶ浦という集落まで走っていく。能登南湾に沿って走る日出ヶ島では、対岸に石油タンクが並んでいるのが見えた。その先、いったん海から離れて内陸を行くが、野崎という集落の中は狭隘路の交差点が続く。
 この先は島の東岸になり、対岸に陸地が見えなくなった。大型バスがやっとの狭隘路もあれば、広くなっているところもある。この辺りまで来ると、乗客も残りわずかになっていた。
 最後まで残っていた乗客も、祖母ヶ浦の集落に入って、とある家の前で降りていった。自由乗降区間なので、自宅の近くで降りていったのだろう。終点で降りたのは自分だけだった。
向田の火祭りの準備
28.祖母ヶ浦15:45→16:10マリンパーク島の湯(能登島交通)−円(通し運賃)石川22き・934 日野
祖母ヶ浦の能登島交通 対岸は能登半島  祖母ヶ浦では、折り返しの発車まで港の堤防に上がって、能登北湾の向こうに見える対岸を眺めたりして時間を過ごす。昨日バスで通った兜辺りのはずだ。
 祖母ヶ浦へ来るバスはこの後も2本あるが、祖母ヶ浦から出るバスはこれが最終便。行き先は島の湯なのだが、表示は昔のまま「大橋駐車場ゆき」になっていた。
 もちろん、こんな時間に上り便に乗る乗客は自分以外になかった。途中でバスと行き違う。すれ違いの便はないはずとよく見れば「学童専用」の行き先表示ではないか。スクールバスも担当しているようだ。
 帰りは七尾まで直行する。この場合は、そのまま整理券を持って乗り継ぎ、通し運賃になるとのこと。二穴を過ぎると、次のバス停は向田宮の前。もう一度、あの柱松明が見られるかと思ったら、手前の道を左折してしまった。少し近道をして、島の湯へと向かった。
 乗客は自分だけ。向田宮の前からは、臨海公園からのバスが利用できる。二穴〜向田宮の前の自由乗降区間で乗車する人はまずいないのだろう。
スクールバスとすれ違う
29.マリンパーク島の湯16:14→16:47食祭市場(能登島交通)910円(通し運賃)石川200か・275 日野/J-BUS
マリンパーク島の湯の能登島交通 能登島大橋  4分ほどの待ち合わせで、七尾行きのバスがやってきた。今度は能登島大橋を渡って能登半島に戻るので、前の席に座って行きたかったのだが、空いていたのは運転席の後ろだけだった。始発から乗ったわけではないのでしかたがない。
 大半が能登南湾を見ながら走る。対岸に見えるのは、七尾の中心街なのだろう。やがて道路が登り坂になり、交差点のところに大橋駐車場バス停があった。その名の通り、広い駐車場と数件の土産物屋があり、能登島の入口であり各方面への乗り継ぎ地点になっているようだ。
 そこを出ると、いよいよ能登島大橋を渡る。今朝通った「ツインブリッジのと」は吊り橋だったけれども、こちらはコンクリート橋。船が通れるように、一部分だけ橋が高くなっている。その独特の形を車内から眺めてみたかったのだ。右手には、和倉温泉の旅館が見えてきた。
 能登半島に渡って温泉街を通り、やがて和倉温泉駅前バス停に着いた。3日前にここからバス旅をスタートしたのだ。ちょうど一周したことになる。その先は、ほぼのと鉄道に沿って走る県道を走って七尾の市街地へと入っていった。
和倉温泉の温泉街
見学 道の駅『食祭市場』
道の駅きっぷ  今日は七尾泊まり。このまま乗っていってもよかったのだが、道の駅にもなっている食祭市場に寄っていく。道の駅きっぷの販売が17時までとのことで、ちょうど間に合うというのも理由のひとつ。
 道の駅きっぷを売っている事務所は、建物の一番奥だった。その先は海で、七尾湾の観光船もここから出ているのだとか。海から能登島大橋やツインブリッジのとを眺めてみたいと思うものの、今日の運航はもう終わり。
 それでも、食祭市場の中のお店はこの時間でも盛況だ。昼食が水族館のホットドッグだけだったので、ここで何かつまんでいこう。揚げたての天ぷら(練り物揚げ物)を打っているお店がある。これが何ともおいしそう。中に入った具によって値段もいろいろ。気に入ったのを2つほど頼むと「ここで食べるなら揚げたてを出すから、座って待っていて下さい」と何とも親切。
 熱々の天ぷらは、これはおいしかった。さすがにもう夕方なので、これ以上は食べるのを自粛。土産物を少し物色してから、バス停へと向かった。
30.食祭市場17:23→17:27七尾駅(北鉄能登バス)170円 石川200か・・39 日デ/西工(ワンステ)
食祭市場の北鉄能登バス 食祭市場バス停  食祭市場バス停には、ポールが3本も立っている。北鉄能登バスと能登島交通、それに「ぐるっと7」というコミュニティバスのポールだ。
 次のバスは、その「ぐるっと7」というコミュニティバス。やってきたのは、委託されている北鉄能登バスの小型ワンステップバスだった。駅まで歩いて行けない距離ではない。コミュニティバスだし、混んでいたら悪いなと思っていたのだが、やってきたバスに乗客はなかった。
 行き先表示に「ぐるっと7」という愛称名はなく、「ななおコミュニティバス 西コース」と2段にコース名が表示されていた。
 駅までは、700mほどしかない。乗車時間もわずか4分しかなかった。降りたバスのボディには、かわいいうさぎのイラストともに「Petitプチ」という愛称が書かれていた。少し色は剥げかかっていたけれども。
 今日のバス旅はここまで。だけど、荷物は穴水駅のコインロッカーの中だ。周遊きっぷのゾーン券のおかげで、これから穴水まで往復して荷物を回収してこよう。穴水での折り返しが8分しかないのがちょっと心配。ワンマン列車なので、降車に手間取るとすぐに数分余計にかかってしまう。実際は、ほぼ定刻に穴水着き、無事七尾に戻ってくることができた。
プチのマーク

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