第5日 〜2009.7.25(土)〜

七尾駅→越ノ潟

31.七尾駅8:30→9:09脇(北鉄能登バス)750円 石川230あ・697 三菱
七尾駅の北鉄能登バス 脇の北鉄能登バス  今日で周遊きっぷのゾーン券が使えるのも最後。そこで、早起きして和倉温泉の公衆温泉まで朝風呂を浴びに行こうかとも思ったのだが、ホテルの無料朝食がなかなか魅力的だったので、ゆっくり起きて朝食の方を選んだ。
 北陸鉄道グループのバスに乗るのも、今朝の1本で最後だ。購入した回数券もかなり余ってしまったが、また来る機会があるだろう。その最後に乗るのが、富山湾沿いの国道160号線を走り、石川・富山県境を越えて富山県側に入った脇という集落まで行く路線だ。
 能登湾から富山湾へ抜けるのに、峠越えがある。それほど大きな峠だとは思っていなかったのだが、かなりの急勾配を登っていく。途中で、右側の旧道へ入っていくところもあった。
 峠を越えて富山湾側に出ると、今までなんとか持っていた天気が雨に変わった。石川県を出る前に、ついに乗客は自分だけになってしまった。すると女性運転士さんが声をかけてきた。「能登半島の旅は楽しかったですか」。旅の初日に回数券を買った、羽咋の窓口にいた運転士さんだったのだ。あれからずっと能登半島にいたのですかと驚かれてしまった。
富山湾の風景
32.脇10:00→10:29氷見市役所前(加能越鉄道)360円 富山22こ・213 日野
脇の加能越バス 渡船も出ている海岸  富山県に入って最初のバスは、加能越鉄道という会社のバスだ。社名に鉄道とついているが、最後まで残った軌道線は、第3セクターの万葉鉄道に譲渡されて、今ではバス事業しかやっていない会社だ。
 バスはすでに脇道に停まっているのだが、バス停は国道上にある。そのため、発車の数分前にならないと乗り場にはやってこなかった。始発の脇から乗ったのは、自分のほかに女子中学生のグループ。けっこう賑やかで、バスに乗るのは久しぶりらしい。
 中田というバス停まで来ると「虹ガ島遊覧船」の文字が見えた。どうやら沖に見える島が虹ガ島で、夏場はそこまでの遊覧船が出ているようだ。全国版の時刻表には載っておらず、こんな季節航路があるのを知っていたのなら、コースに組み込んだのにと思う。
 氷見温泉郷の岩井戸温泉などを過ぎていく。昼食を兼ねて入浴というのも考えたのだが、どこもまだ時間が早いようで、今回は温泉はパスして氷見の市街地を歩いてみよう。
 脇を出て30分ほどで氷見の市街地に入った。その中でも、郵便局にも近い氷見市役所前で降りることにした。
脇バス停
見学&昼食 氷見の街
光禅寺
藤子不二雄Aさんの生家、光禅寺の境内に並ぶ4体の石像。2009年3月に建てられたとのこと。©藤子スタジオ
石像の説明 ひみ浜  氷見では、次のバスまで2時間半と時間はたっぷりある。一度来たことはあるものの、その時は氷見線に乗ってあわただしく折り返しただけ。駅から少し離れた氷見の街を見学するのは今回が初めてだ。
 まずは、藤子不二雄Aさんの生家、光禅寺が郵便局の近くなので行ってみることにした。境内に入ると、何とも大きな石像が建っているではないか。今年の3月に建立されたばかりだそうで、代表的なキャラクターばかりだ。
 メインロードにも、キャラクター像が建っているので、それらを眺めながらゆっくり歩いて行く。すると、潮風ギャラリーというところで、藤子不二雄Aまんが展というのをやっていた。せっかくだから寄っていこう。館内には、貴重なカラー原稿などもあり、時間もあるのでゆっくり見学していく。
 さて、そろそろ食事にしよう。1本海側の通りにある、地元の漁師さんがやっているばんや料理の店というのを目指す。不定休だそうで、やっているだろうか。
 店はすぐに見つかって、中に入るとお客さんがかなりいる。それでも空席があって招き入れられた。刺身定食2200円に岩ガキ1個900円をつける。岩ガキは冬でなく夏が本番。ものすごい大きさで、身もプリプリしていた。これがおいしかった。もちろん、他の刺身も言うことナシだった。
入場券
氷見市潮風ギャラリー
33.氷見市役所前13:09→13:36伏木駅前(加能越鉄道)300円 富山22こ・214 日野
氷見市役所前の加能越バス 伏木駅前バス停  先ほど脇から乗ったバスも高岡行きだったのだが、氷見〜高岡はいろいろな径路がある。その中で、伏木駅前を経由するのは1日6本しかない。
 ようやく、その伏木経由の高岡行きがやってきた。さきほどのラッピングバスとはまったく印象が違うが、登録番号は1番違いで写真を見れば同型のバスだ。
 氷見市民病院始発のバスに、先客は1人しかいなかった。市役所前から乗ったのも、自分を含めて2人だった。柳田までは、先ほど乗った脇からのバスと同様に国道を走る。柳田から左側の道に入る。でもこれが国道だそうで、そのまま直進する県道の方が立派だ。
 しばらく行くと、左折してバス同士だとすれ違い出来ないかなという道に入っていく。でも、そんな道に立つバス停に待ち客がいた。そんな細道の途中に、雨晴駅前バス停があった。よくみると、いつのまにやら左側に氷見線の線路があるではないか。再び国道に戻ると、左手には線路と海という絶好のロケーションになった。雨晴海岸の女岩が見えてきたので、1枚撮影。なんとか撮れたようだ。
 国分が近づくと、海が見えなくなってしまった。バスも国道を左折して踏切を渡り、工場地帯のようなところを走っていく。だんだん、商店や住宅が増えてきたと思ったら、そこが伏木の市街地だったようだ。まもなく踏切を渡り、伏木駅前でバスを降りた。
雨晴海岸の風景
見学 『如意の渡』の碑
如意の渡しの説明 如意の渡しの碑  伏木の街をゆっくり歩いたことがない。いろいろな資料館もあるようだが、とりあえず、これから乗る「如意の渡し」の碑があるとのことなので行ってみよう。
 駅前の緩い坂道を登っていくと、そこが勝興寺という大きなお寺。拝観料が必要な立派なお寺で、寄っていこうかと思っていたのだが、修復中とのことで建物がすっぽり大きな仮屋に覆われている。これではちょっと、という気がして、寄らずに碑へ向かうことにした。
 勝興寺の手前の細道を左に入る。そこをしばらく行けばあるはずなのだが、ここだと思う場所に行っても見つからない。だいいち、渡し船の碑がこんな高台にあるのだろうか。もしやこの中なのかと、「村社 八幡社」と書かれた神社の境内に入っていく。海側の崖上に、目指す碑が建っていたのだった。
 なんでこんなところにと思って帰宅後調べてみると、ここに建っていたのは如意渡保存会の方々が建てた「渡し守」の館跡の礎石を集めて建てた「かきよせ」の碑と、高岡市が建てた「如意の渡」の石碑とのことだった。海側には東亞合成という大きな工場が広がっていて、この崖上から海を見ることはできなかった。
 再び細道を歩いて、如意の渡しの乗り場へと向かった。
如意の渡しの説明
34.伏木14:58→15:01六渡寺/中伏木(伏木港湾交通)200円 如意の渡し丸
伏木の乗り場 如意の渡し丸
廃止の案内
如意の渡し丸  如意の渡しはかつて何度か汽車旅の途中で乗っている。バス旅の途中で乗るのはこれが初めてだけれども、勝手はわかっているつもりだった。
 乗り場に行ってみると、けっこう人がいるではないか。こんなに賑わっているのは初めてだ。よくみると立て看板があるではないか。何と、航路廃止のお知らせだった。地元ではニュースになっていたようだが、全国的にはニュースになっておらず廃止になるとは全く知らなかった。
 旅の日程を8月にしていたら、ここで立ち往生していたかもしれない。ともかく運行しているときに乗りに来ることが出来てよかった。乗ってみてわかったのだが、すでにお客さんがいれば船を出す、随時運行になっていた。
 「もう、でるけど、乗りますか」の声に、ゆっくり伏木側の撮影もせずに乗り込んでしまった。ところが、どうも書かれた時刻表の時間とは違う。随時運行とわかっていれば、あわてなかったのだが。
 乗ってしまえば、3分ほどで対岸に運ばれる。しばし船着き場から、行き来する船を眺めている。伏木側の乗り場の上には、廃止の要因となった伏木万葉大橋が覆い被さるように通っていた。
 船内に貼られた「最終カレンダー」は、8月2日までしかなかった。
35.中伏木駅前15:20→15:35第一イン新湊(きときとバス)200円 富山200あ・・72 ワーゲン/クセニッツ
中伏木駅前のきときとバス 近くの鉄橋を万葉線が走る  伏木は高岡市だが、如意の渡しで渡った中伏木側は射水市になる。ここからは射水市のコミュニティバス「きときとバス」に乗っていく。
 この辺りは、かつて新湊市だったところ。射水郡小杉町、大門町、下村、大島町、新湊市の5市町村が合併して射水市になった。市域が広がり、市内全域に17路線も運行されているのが「きときとバス」だ。
 まずは3系統、七美・作道経由庄西線に乗っていく。土日は本数が減るものの、完全運休ではないのでたすかる。やってきたのは、クセニッツの小型バス。日本の風土にあわなかったのか、故障が続出し国産のバスに買い直した自治体も多い。北陸で会えるとは思わなかった。
 始発の中伏木駅前から乗り込んだのは自分だけ。六渡寺駅前まで、工場の中のような細道を走っていく。そこからは、海側にある庄西町の集落へと入っていく。そこで、ご老人が1人乗ってきた。庄西町の集落を一周すると、庄川を渡る。道路橋の隣には万葉線の鉄橋があり、ちょうど低床車「アイトラム」が走っていった。
 庄川本町をぐるっと一周する間に、ご老人が降りてしまい、また車内は自分だけになってしまった。再び庄川沿いに出て、万葉線の踏切を渡る。下牧野という地区を走っているようで、右に左に曲がっていくから、今どの方向に走っているのかわからなくなってしまった。
 やがて、新湊第一イン停留所の放送が流れる。ここが「きときとバス」にいくつかの路線の乗り換え停留所になっている。降りるとき運転士さんに次に乗るバス停をたずねると、道路の向かい側だという。
第一イン新湊のきときとバス
36.第一イン新湊15:44→16:03越ノ潟(きときとバス)200円 富山200か・167 三菱
第一イン新湊のきときとバス 越ノ潟バス停  次に乗るのは、1系統、新湊・大門線のバスだ。17系統もあるので、5つの会社が委託されているのだが、今回乗った1系統と3系統は、どちらも海王交通(株)という会社が運行している。
 またクセニッツがやってくるのかと思ったら、今度はもう少し大きな三菱のマイクロバスだった。JR越中大門駅発着の路線だから、それなりに利用者が多いのだろう。しかしながら、この車内の先客は1人だけだった。バスは狭い道を通りながら、再び万葉線の踏切を渡って、海側の集落へと進んでいく。
 この辺りが、新湊の昔からの街並みのようで、多少の乗降がある。あまりに利用者がいないと、土日完全運休になってしまっても困る。観光客の利用も、想定しているのだろう。このバスが走っている通りのすぐ南に、内川という川が流れていて、そこに架かる橋がユニークなのだそうだ。バスの放送でも○○橋にお越しの方は、こちらが最寄りというような放送が流れている。
 ステンドグラスがはめ込まれた神楽橋。巨大な手のモニュメントがある山王橋。屋根があり、途中に休憩所がある歩行者専用の東橋などがあるそうだ。
 海王丸に寄り道するものの、乗降はなかった。時間があればこちらで降りて、海王丸を見学しようかとも思っていたのだが、土日は最終バスまで1時間しかない。入館料を払って1時間では、あまりにもったいなく今回は、終点まで直行することにした。
 終点の越ノ潟まで乗ったのは3人。すぐ目の前に県営渡船の乗り場と万葉線の駅があるだけで、人家はないようだった。
富山新港の建設中の橋

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