第7日 〜2006.5.5(金・祝)〜

猪苗代営業所→喜多方

32.猪苗代営業所8:30→8:54五色沼入口(会津乗合自動車)750円(G) 福島22か24−48 日野
猪苗代営業所の会津バス 五色沼入口バス停  昨日バスを降りた、猪苗代駅前の会津バス猪苗代営業所から、バス旅を再開する。1番線から4番線まであるターミナルになっている。発車まで10分以上あるが、もうドアを開けて乗客を待っていた。
 昨日から会津バスに何回も乗ってきたが、そのどれも方向幕が手動式なのだ。電動式やLEDになってしまったバスが多い中で、運転士さんがクルクル回して幕を変えるのは、今となってはなかなか見られなくなってしまった。
 猪苗代の街は、駅から北へ続いている。そんな街中から運転士さんに挨拶して、話をしながら乗ってくる人がいた。
 バスの乗客は、ほとんどが観光客のようで、それほど大きくないバスの座席はかなり埋まっている。やがて、五色沼入口の放送が入り降車ボタンを押す。停まると、なんとほとんどの人がここで降りるではないか。これには、びっくり。それに、先ほど運転士さんと親しく話していた人は、この駅の担当者だったのだ。降りるとすぐに、窓口を開ける準備を始めていた。
2006年9月30日限りで、路線廃止。ほぼ同区間を運行する磐梯東都バスは運行継続中。
行き先表示器
33.五色沼入口8:56→9:46湖望の湯前(磐梯東都バス)700円(G) 福島200か・468 いすゞ/帝国
五色沼入口の森の熊さん 森の熊さんの車内
車内後部 専用乗車券  五色沼入口からは、桧原湖周遊バス「森のくまさん号」に乗っていく。裏磐梯高原駅からやってきたバスは、立ち客もいる盛況。これは大変、乗り切れるのかなと思っていたら、なんと全員ここで降りてしまった。
 みごとに空になった車内に、たった1人乗り込んで、貸切になったバスを楽しんでいく。古いボンネットバスを福山自動車時計博物館でレストアしたもので、ドアは手動ドア。だから、車掌さんが乗ったツーマンバスだ。さっそく「どちらまでですか」と聞かれたので、「会津ぐるっとカードで、湖望の湯前まで」といって会津ぐるっとカードを見せる。
 次の裏磐梯ロイヤルホテルで、中年のご婦人グループが、このバスを見て車掌さんと相談の上、一周乗ることに決めたようだ。
 きっぷを売っていたので、せっかくだから安い区間を記念に作ってもらったのが左のもの。森のくまさん専用の、車内乗車券だ。1日乗車券は別の仕様なので、路線図の入った車内券の方が趣味的には気に入っている。
 このバスは、昔のままの仕様。だから冷房なんてついていない。涼しい高原の湖を走るとはいっても、この季節はいいけれども、夏場は運転する方も、乗る方も大変だろうと思う。
 国民休暇村バス停に到着すると、ひとりの女性が乗ってきた。乗るところを男性がビデオで撮っている。そして「次の停留所まで」と言ってきっぷを買っている。そして、このバスを男性が車で追いかけてくる。「想い出映像づくりも大変だなあ」と思ってしまう。
 道路は、ほぼ片側1車線の道路だけれども、ところどころ狭隘路もある。左中段の写真は、国民休暇村の手前の曽原湖へのカラマツ林の中を行く道。ボンネットバス1台がやっとの道だ。左下段の写真は、北岸の金山から桧原へ向かう途中。この辺りは山が湖畔まで迫っているので、一段高いところに1車線の曲がりくねった道が通っている。対向車との行き違いも待避所でないと無理な道が続いていた。
 ここを抜けると、比較的大きな桧原集落だ。ここにある湖望の湯という温泉浴場によっていこう。「湖望の湯前、お願いします」「オーライ」。車掌さんと運転士さんのやりとりがあり、湖畔の停留所に到着した。
湖畔の道を行く
檜原湖畔
寄り道  湖望の湯(入湯料400円)
湖望の湯 こらんしょ
 バス停から歩いて『湖望の湯』へ向かう。ウェブサイトの情報では、営業開始は10時。ところが行ってみると扉には鍵がかかっている。貼り紙を見ると、営業開始は10時30分とのこと。10時過ぎに管理の方が見えて、掃除が始まったようだ。まだ5分早いがとお伺いを立てると「まあいいですよ」とお許しが出る。
 券売機で400円の入湯券を買って、浴場へ向かう。浴場はそれほど広くはなく、湯船で足を伸ばせば3人でいっぱいの広さだ。まだ空いているのでゆっくり足を伸ばして入る。お湯はけっこう熱い。しばらくすると、肌がつるつるしてきた。15分もすると体の芯まで温まってしまった。
 となりにある、元小学校の建物の一部を使った『ギャラリーこらんしょ』では、『ヒロのお菓子屋さん』のケーキが食べられる。1階の写真を見たあとで2階のホールで花豆もんぶらんとコーヒー600円也をいただく。おいしかった。
花まめケーキ
34.湖望の湯前11:35→12:19裏磐梯高原駅(磐梯東都バス)750円(G) 福島200か・468 いすゞ/帝国
檜原湖畔を走る森のくまさん
湖望の湯バス停の森のくまさん  再び『森のくまさん号』に乗っていく。このバスは、1日4便が、桧原湖を反時計回りに運転されている(2006年シーズンの場合)。今度乗るのが2便目。やがて、檜原湖の北岸を通る、一段高い細道を走っていくのがバス停から見えた。
 やがて、そのバスが湖望の湯バス停にやってきた。先ほど乗った1便は、自分を含めて5人しか乗っていなかったのだが、こんどはほぼ満席。空席が2カ所しかなかった。
 桧原から桧原大橋までは、少し湖岸から離れた狭隘路や、湖岸にへばりつくような曲がりくねった狭隘路がある。人家などまったくない区間で、除雪も遅く、今年開通したのは4月27日のことだと、車掌さんから案内があった。日陰では、まだ雪が残っているのを目にすることができた。
 磐梯桧原湖畔ホテルへ寄り道するものの、ここでの乗降はなかった。広い通りに出て道の駅「裏磐梯」に寄ると、たちまち注目の的だ。「えっ、このバス貸切バスじゃないの」といった雰囲気で、降りていくお客さんを見ている人もいる。
 何人かのお客さんを下ろして、少しだけ空席を作って裏磐梯高原駅へと向かう。ここからは、大半が湖岸から離れたところを走る。磐梯東都バスは裏磐梯高原駅、会津バスは磐梯高原駅と名前は違うが、バス停は同じ場所だった。
磐梯高原駅で休む『森のくまさん』
森のくまさん
正面はクマさんの顔。行き先表示器の両側に耳が描いてある。
森のくまさん
冷房がないので、通気口や窓を開けて休憩する。
森のくまさん
後部はクマさんのお尻。非常ドアのコックがしっぽになっている。
森のくまさん
運行は磐梯東都バスだが、所有は北塩原村。
35.磐梯高原駅12:41→12:51国民休暇村(会津乗合自動車)290円(G) 福島22か21−68 いすゞ/富士重工
磐梯高原駅の会津バス  レストハウスに行ってみる。食事でもと思ったら、座席はほとんど埋まっている。次のバスまで20分ほどだし、これではゆっくり座っての食事はムリそうだ。地元の手作りアイスを食べてから、何もなくては寂しいと、五目いなりと海苔の代わりに赤ジソでくるんだオニギリを1つ買ってバスを待つ。
 猪苗代からのバスが5分ほど遅れて到着した。五色沼入口へは臨時便も出る盛況だが、国民休暇村方面はわずかな乗客を乗せて発車となった。
 磐梯東都バスは、国民休暇村へは小野川湖や曽原湖を回っていくのだが、会津バスは県道をまっすぐ国民休暇村へと向かう。ということで、これで「森のくまさん号」とあわせて、桧原湖を本当に1周したことになるのだろう。
 終点まで乗ったのは自分を含めて3人。ここで降りて、磐梯観光船の白樺乗船場へ行こうと思ったのだ。観光ガイドブックによると、国民休暇村バス停下車徒歩15分とある。
 降りるとき、運転士さんに確認すると、県道の向こうに見えるダート道を指さしている。
2006年9月30日限りで、路線廃止。ほぼ同区間を運行する磐梯東都バスは運行継続中。
徒歩 国民休暇村→白樺・山の家 乗船場(迷わなければ約1km)
乗船場への入口
ようやく小さな案内板を見つけることができた。
白樺桟橋  ダート道を歩いていく。小さな川を渡ってしばらく行くと、湖岸が見えてきて貸しボート屋さんがあった。まだかなあと、そのまま歩いていくと、オートキャンプ場になっていった。
 これはちょっとおかしいと、キャンプ場のフロントで乗船場の場所をたずねる。フロントの方は親切で「いやあ、もう行き過ぎなんですよ。貸しボート屋さんのところを右折、こちらから戻ると左折するとあるんですけど、ちょっとわかりにくいんですよ」という。
 お礼を言って来た道を戻る。出航時間まであまりないので、早足だ。貸しボート屋さんの先を左折すると、見つけた! 小さな表示だが「遊覧船のりば」とある。しかし、矢印の指す先は、けもの道ではないか。本当に、この道の先に乗船場があるんですか?
 半信半疑のまま、けもの道を歩いていく。湖岸に向かうはずなのに、少し登り坂になっているのも不安をあおる。やがて、湖岸の護岸の上に出た。その先には、木製の浮き桟橋が見えてきた。そこには、中年のご夫婦が立っている。
 護岸の先端は階段になっていて、その先の桟橋へ渡るための渡り板は、半分水没しているが、なんとか渡れるようだ。
桟橋への道
このけもの道の先に桟橋があるとは思いもしなかった。
36.白樺・山の家13:20→13:40磐梯高原(磐梯観光船)500円 あづま丸
白樺桟橋 磐梯山  近づいてきた観光船の船外スピーカーが呼びかける。「乗るんですか。乗るのなら手を振ってください」。ご夫婦共々手を振ったのはいうまでもない。
 やってきた船は、舳先の船底を湖岸の湖底にめり込ませる。そのまま船のお尻を振って、船体を桟橋に押しつけている。ようやく、これで乗り込める。見た目で判断しているので、本当はもっと難しいことをしているのかもしれないが、素人が見るとこんな感じに見えた。少なくともロープを縛って固定するような設備がない桟橋なのは間違いない。
 乗るとすぐに運賃の徴収。1000円札しかなかったので、下船時に徴収ということになった。
 桟橋から離れる船から、その桟橋を見るといかにも貧弱。他にも乗客のいたゴールデンウィークだったからよいものの、平日だったら不安になって引き返していたかもしれない。
 湖上からの眺めはなかなかよかった。湖の向こうに、雪の残る磐梯山を見ることもできたし。
 磐梯高原の桟橋を降りたところで、湖の見えるベンチで、先ほど買った五目いなりとオニギリを食べて簡単な昼食にする。
すれ違う観光船
37.裏磐梯高原駅14:08→15:05喜多方駅(磐梯東都バス)1240円(G) 福島200か・313 いすゞ/IK COACH
磐梯高原駅の磐梯東都バス バスのサボ  観光船の磐梯高原桟橋は、バスの磐梯高原駅(裏磐梯高原駅)のすぐ近くだった。ただし、次に乗るバスは、乗車券売り場があるターミナル側ではなく、反対の道路上からの発車なので、早めにそちらへ移動して待つことにした。
 今度は、磐梯東都バスで喜多方駅へ向かう。裏磐梯ロイヤルホテル始発のバスは、ほぼ満席の乗客を乗せて到着した。喜多方へ行くバスは、それほど本数が多くないから混むんだなと思ったら、今朝の「森のくまさん号」と同じで、ここでみんな降りてしまった。五色沼の遊歩道を歩いた人が、帰りはバスに乗って戻ってきたのだろう。ここからの乗客は、自分だけになってしまった。
 それでも、雄国沼入口からおじさんが1人乗ってきた。いつもこの路線に乗って写真撮影に来ているらしい。道の駅「裏磐梯」までは、先ほど「森のくまさん号」で走った道を戻る。その途中で、その「森のくまさん号」の3便とすれ違う。
 道の駅からは国道459号線を喜多方へ向かう。途中ラビスパ裏磐梯では、国道を離れて建物の前まで行く。帰りがけに国道の脇の谷間を見ると、一面にミズバショウが咲いている。「わあ、すごいですね」というと、運転士さんは「ここは有名なんですよ」と教えてくれた。
 そこから先は、とにかく下り坂の連続だった。それも、カーブの連続。それでも、途中のバス停から乗ってくる方もいて、地元の足として貴重なバス路線なのだ。薬師別バス停からは、北塩原村の集落内の道に入る。ここがすごい狭隘路だった。狭い鍵形の道があり、本当にバスが通れるのかと思うほどだった。
喜多方に着いた磐梯東都バス
38.喜多方15:33→16:04日中線記念館前(会津乗合自動車)550円(G) 福島22か25−01 いすゞ/富士重工
喜多方の会津バス  2006(平成18)年度は、喜多方〜日中と喜多方〜夢の森が新たに会津ぐるっとカードの乗車範囲になった。それならということで、熱塩にある「日中線記念館」に行ってこよう。
 喜多方からの会津バスは、駅前始発の路線と営業所始発の路線があり、地元の人でないとわかりにくい。少なくとも、営業所ならすべての路線が通るので、営業所前で待つ。どうやら、日中線は駅前始発だったようだ。先ほどの磐梯東都バスも、喜多方駅といっても駅前の信号の手前だし、駅前と営業所も150mしか離れていないので、磐梯東都バスの喜多方駅、会津バスの喜多方駅と喜多方営業所の3カ所は、ほぼ同じと考えていいだろう。
 バスは途中で喜多の森という、日帰り温泉もある道の駅へ寄っていく。その後、細道をたどり熱塩加納村役場入口を通って、温泉施設のある夢の森へ。たしか、ここはかつての日中線の線路跡だったはずだ。
 その先で県道に戻り、小さな橋を渡った先が、日中線記念館前バス停だった。降りるときに「会津ぐるっとカード」を見せると、それではこの路線は乗れないと言われる。カードと一緒にもらったパンフレットを見せると、一件落着「変更になったのを知りませんでした」とのこと。
寄り道 日中線記念館(旧 熱塩駅)
旧熱塩駅 熱塩駅舎  ここは、かつて喜多方と熱塩を結んでいた、国鉄日中線の終着駅熱塩駅舎を保存している『日中線記念館』。最後まで、全列車機関車牽引の客車列車で運転されていた。
 今から25年くらい前、チャレンジ20,000kmという、国鉄全線踏破キャンペーンがあって、その時乗りに来たことがある。当時は1日3往復の運転。朝、夕、夜に1本ずつだった。夕方の列車に乗ったのだが、背もたれが板のままでモケットの貼っていない客車に驚いたり、帰りの加納駅で機関車がどこかへ行ってしまい、またまたびっくり。側線にいた貨車を2両つないで戻ってきて、ここからは客貨混合列車になって喜多方へ向かうのだった。当時はそんな知識がなかったから、混合列車を見ただけで興奮してしまったのを覚えている。
 駅舎とともに、そんな板ずりボックスシートのオハフ61とラッセル車が保存されていた。屋根もあり大切に保管・展示されている。最近、再塗装されたようで、車両の外板はきれいな状態だった。これで、構内の線路が剥がされていなければ、もっと臨場感があるのだけれども。それは、欲張りすぎだろう。
保存車両
39.日中線記念館前16:17→16:41喜多方(会津乗合自動車)550円(G) 福島22か25−01 いすゞ/富士重工
記念館バス停 遊歩道の蒸気機関車  記念館をゆっくり見学していたいが、バスの本数も少なく、先ほどのバスが日中から折り返してくるまでの間しか時間がない。
 再び、日中線記念館前バス停で帰りのバスを待つ。先ほどと同じバスが戻ってきた。
 帰りは運転士さんがいろいろと話をしてくれた。そんななかで、せっかく来たのだから、廃線跡にある蒸気機関車が保存されている公園に行ってくればという。そういえば、線路跡がサイクリングロードと公園になっていて、日中線記念公園としてSLが保存されていたはずだ。喜多方駅からちょっと離れているが、レンタサイクルを借りれば大丈夫だろう。
 バスは、帰りは駅前へは入らず、すべて営業所止まりだとのこと。営業所でお礼を言って降りて、駅前のレンタサイクル屋さんへ行く。「1日でも短時間でも1回500円だけどいいかな」といわれたが、もちろんOK。まだ枝垂れ桜が咲くサイクリングロードを、保存されているC11まで走っていった。
桜並木の遊歩道

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