第4日 〜2006.11.26(日)〜

尾道駅前→福山駅前

20.尾道駅前7:55→8:17三成(尾道市交通局)290円 福山230い20−02 日デ/西工(ノンステ)
尾道駅前の尾道市営バス  尾道駅前から如水館行きの尾道市営バスに乗っていく。平日なら朝2本ある如水館行きも、休日はこの便しかない。
 やってきたバスは、昨日乗ったストライプの塗色ではなく、パステル調のグリーンに塗られたノンステップバスだった。駅前から乗ったのは、自分と高校生が1人。駅前のロータリーを出ると、左折して尾道の商店街や住宅地の方へ向かっていく。新尾道駅経由とあるから、広い桜土手経由だと勝手に思いこんでいたのだが、どうやら狭い道を通る長江経由のようだ。
 大型車がやってくると、すれ違いにも慎重になる道を、バスは新尾道駅へ向けて走っていく。坂を登り切ると辺りが開けて、新幹線の駅が現れた。
 駅前のロータリーに入って停車。しばらく時間調整して、新尾道駅を発車する。途中の尾高前で、高校生が降りていった。自分だけになってしまったバスは、さらに先へと進んでいく。
 やがて、松永方面の県道との交差点に差しかかる。ここが停留所かと思ったら、さらに進んで次の信号が三成バス停だった。停留所には、10人以上の人が並んでおり、このバスに乗るのかと思ったらそうではなかった。
三成バス停(尾道市交通局、中国バス、鞆鉄道)
三成付近の地図  この三成バス停で、尾道市営バスから鞆鉄道バスに乗り換える予定だった。降りたバス停の道路の向かい側には、中国バスの尾道営業所があり、このバス停は広島行きの高速バスの停留所にもなっている。たくさん並んでいる人は、広島行きを待っているようだ。
 さて、ここからだと松永は逆方向になるから、横断歩道を渡って反対側のバス停に行ってみる。ところが、そのポールには中国バスと尾道市営バスの時刻はあるものの、鞆鉄道はない。トモテツの乗り場はどこなんだ。発車時刻が迫ってきて、思いっきり焦る。
 すると、松永方面からトモテツカラーのローザが出てきて、尾道方面に曲がったではないか。もしかするとあっちに乗り場があるのか? 発車時間が気になって、思わず走ってしまった。
 バスが停まっていたのは、その先の信号を左折したスーパーの駐車場のようなところ。たしかにトモテツのポールが立っていた。
 左の地図が、三成のバス停の位置関係。クリーム色の矢印のように鞆鉄道のバスが走ってくれたおかげで、乗り場を見つけることが出来た。しかも、少し早めに来て折り返し時間があったからだ。着いてすぐ折り返しだったら、悔しい思いをしていただろう。
21.三成8:24→8:42松永駅北口(鞆鉄道)300円 福山230あ・357 三菱
三成の鞆鉄道 三成の鞆鉄道  待っていたのは、新車のニオイのする三菱ローザ。鞆鉄道のウェブサイトに、バス車両の紹介コーナーがあるのだが、そこには旧型の日野レインボーが三成線のバスとして紹介されていた。だから、そのバスが来るのだろうと勝手に思っていた。
 このニオイからいって、最近導入されたようだ。あの旧型レインボーは、予備車になったのだろうか。もしかすると、もう見られないのかもしれない。
 客席の窓は、カーテン代わりにガラスに濃い色が付いているので、小雨降るこんな日は景色がよく見えない。フロントガラス越しの景色を楽しんでいくしかなさそうだ。
 バスはときどき県道から外れて、旧道に入っていく。川沿いの旧道を走って、集落の近くを通っていくのだが、誰も停留所に待っていない。
 尾道市から三原市に入った西藤口バス停で、ようやく2人ほどお客さんが乗ってきた。その先で国道2号線に入り、しだいに松永の市街地になる。松永ターミナルに停まるが、乗客に動きはない。ちなみに、尾道〜福山のバスは国道を直進してしまい、駅前には入らない。
 その先の信号で右折して、そのまままっすぐ200mほど進んだつきあたりが、あまり広くない松永駅北口の広場だった。
 平日や土曜日なら、これほど苦労することはなかったのだが、日祝日はこれが尾道から松永へ路線バスで行く一番早い乗り継ぎだったのだ。
車窓風景
22.松永駅南口9:05→9:54鞆の浦(鞆鉄道)710円 福山22く・963 三菱/新呉羽
松永駅南口の鞆鉄道 松永駅の時刻表  松永駅までこんなに苦労してやって来たのは、このバスに乗るためだったのだ。
 今回の旅で、鞆の浦に行きたい。でも単純に福山から往復したくはない。しかし、松永から鞆の浦へ入るバスは、1日3本しかない。松永駅南口発6:55,9:05,16:20の3本だ。
 6:55は松永に泊まらなければ乗れないし、16:20では鞆の浦を散策する時間がない。日曜日の9時までに、尾道からバスで松永に来るのは無理だと思った。しかし、いろいろと調べた結果、なんとか行けるルートが見つかったのだった。
 そんなわけで、当初の予定通り、鞆の浦へ寄り道しながら福山へ行くことにした。松永駅南口からの乗車は2名。でも、もう1人のお客さんは、すぐに降りてしまい貸切状態になってしまった。バスは、けっこう起伏とカーブの多い道を走っていく。みろくの里入口を過ぎて、福山方面からの道と合流する平迫で、時間調整の停車。福山からの千年橋行きが先に発車していく。
 その千年橋を過ぎてしばらく行くと、右手に海が見えてきた。阿伏兎までは、福山からのバスもある。どんなところだったかというと、住宅のある細道の中にある道がちょっと広くなったところだった。そこで折り返して、今来た道を戻る。広い道まで戻ると、左折していよいよ1日3本しかバスが走らない区間へと進んでいく。
 トンネルを抜けると保健所前というバス停がある。その先で「えっ、ここに入るんですか」と声を出しそうになってしまった狭隘路に入る。そして、その狭隘路が鞆の浦まで延々と続くのだった。そして、この狭隘路にあるバス停では、1人ふたりと待っている人がいるのだった。
車窓風景
23.鞆の浦9:53→鞆港→鞆車庫→10:02鞆の浦(鞆鉄道)200円 福山230あ・501 いすゞ/新日国工業
鞆の浦のボンネットバス 乗車券  ここまでやってきたのは、鞆鉄道のボンネットバスに乗るため。今年(2006年)の運行は、今日で最後だ。
 その最後の運行は、福山駅から鞆の浦への定期観光バスの片道、鞆の浦での周遊観光バスを4回、そして福山駅まで回送して福山駅〜鞆港の路線バスを2往復という、けっこうハードなものだ。
 鞆の浦バス停の後ろに建っている『ともてつバスセンター』のカウンターで、「鞆の浦観光ボンネットバス」の乗車券を買う。200円で約15分の体験乗車ができるのだ。
 次の発車は10:00だったので、ボンネットバスの写真を撮っていると、運転士さんと案内役の方がやってきて「もう乗っていいよ」という。まだ時間前なのだが、それじゃ行きますかと発車してしまった。もちろん乗客は自分だけ。ついに、ボンネットバス1台を200円で貸し切ってしまった。
 このボンネットバス、今日これから行く予定の「福山自動車時計博物館」でレストアされて現役復帰したもの。新日国工業というところのボディーで残っているボンネットバスは、これが唯一のものらしい。当然、座席など当時のものではない部分もあり、背もたれがカラフルすぎるのが気になると言えばいえる。それでも、レプリカとレストアは大違い。バネの堅さを感じながら、楽しい乗車になった。
 とくに、この解説のおじさん。鞆の浦と鞆鉄道(バスでなく鉄道時代のこと)に詳しいこと。車内から見える、いろいろなものを全部説明してくれるのではないかというほど、詳しい説明をしてくれた。バスの鞆車庫が、元鞆鉄道の終点だったところで、鉄道があった頃はこんなだったとか、いろいろと話しを聞かせてくれた。その鞆車庫では車庫内にバスが入って折り返しをする。
 もうちょっと乗っていたいが、あくまでも体験乗車的な観光バスなのでしかたがない。15分の予定がこれまた早く9分ほどで、鞆の浦バス停に戻ってきてしまった。車内写真を撮りたい旨を伝えると、どうぞごゆっくりとのことで、思う存分撮影させていただいた。
 バスセンターの中では、鞆鉄道(もちろん鉄道時代)のパネル展をやっていて、そちらもじっくり見学させていただいた。
 本当は、鞆の浦から福山駅へ行く夕方の便に乗りたいのだが、やっぱり早めに出て「福山自動車時計博物館」へ行こう。
鞆鉄道のボンネットバス
ボンネットバス車内
鞆の街 散策
鞆の浦 鞆の街並み  鞆の浦〜鞆港の1区間だけ乗り残すのももったいない。昼食タイムを兼ねて、鞆の街を散策してこよう。
 まずは、対岸に見える仙酔島へ渡る市営渡船を堤防から眺める。仙酔島へ行ってみようかと思っていたが、天気はよくない。両方とも散策する時間はないので、島へ渡るのは次回の楽しみに。
 鞆港まで来ると、港の対岸に鞆のシンボル「常夜燈」が見える。そこまで、古い街並みの路地を歩いて行ってみる。手作りの海産物の加工品を売っているお店があったりして、狭い路地にいい匂いが漂っている。しばらく歩いて、今歩いている路地がさっきバスが走った道なのだ。乗っているときは、ただ驚きだけだったが、その道を歩いてみるとその狭さが実感として伝わってくる。
 港全体が見てみたくて、丘の上に建つ歴史民族資料館に行ってみる。ちょうど、尾道へのフェリーが出航していくのが見える。
 もう一度海岸通りに戻って、ちょうど店を開けていた料理屋さんで、地元の魚をつかったランチセットを注文して、昨日とは比べものにならないくらい充実した昼食になった。
鞆港
24.鞆港12:08→12:37福山駅前(鞆鉄道)530円 福山22く・964 日デ/富士重工
鞆港の鞆鉄道 各国語で書かれた歓迎の言葉  こんどはバスの終点、鞆港バス停から福山駅行きのバスに乗っていく。福山〜鞆港は、日中でも15分間隔で運転されている、鞆鉄道のもっとも主要な路線だ。
 やってきたバスは、鞆の浦の広告だった。ラッピングバスではないようで、部分的にカラー写真や歓迎の言葉が印刷されたフィルムが、ボディーに貼り付けられていた。
 おもしろいなと思ったのが、歓迎の言葉。英語の他、ハングル、簡体字、繁体字で書かれている。近隣諸国の文字を並べて、観光に力を入れているのが感じられる。
 鞆港から乗ったのは、自分を含めて2名だったけれども、停留所ごとに何人かずつ乗ってくる。さすがに15分毎に運転されている路線だ。それだけの本数運転しても、ちゃんと需要があるのだ。
 右手に海の見える道を走っていたが、そんな景色も金崎まで。わずか数分のことだった。田尻郵便局前からは、海から離れた道を行く。その先でもかなりの乗車があり、車内はほぼ満席になったようだ。
 草戸大橋で芦田川を渡ると、完全に福山の市街地になる。学校や商店も増えてきて、再び都会に戻ってきた感覚になった。福山駅前の広場はかなり広く、駅に向かって左側が鞆鉄道と井笠鉄道のバス、右側が中国バスの乗り場になっているようだ。その広場の手前が降車場になっていて、そこでバスを降りた。
鞆港の鞆鉄道
25.福山駅前13:00→13:04北吉津住宅前(中国バス)160円 福山200か・119 いすゞ(ワンステ)
福山駅の中国バス  今回のバス旅は福山駅前までだから、前のバスで終わりにしてもいいのだが、福山といったらどうしても行っておきたところがある。ボンネットバスのレストアでも知られている、福山自動車時計博物館だ。
 その博物館最寄りの北吉津住宅前バス停を通る、向陽町循環線に乗って行く。担当は中国バスなので、駅前広場をぐるっと回って乗り場を探した。
 バスがやってくると、乗る人はけっこう多い。さすがに新幹線も停まる駅前からのバスだけのことはある。次々の乗客が乗り込み、結局すべての座席が埋まる程度の乗客を乗せて定刻に発車した。
 駅の東側で山陽本線や新幹線の高架をくぐって、北側に出る。しばらく進んで左折すると「北吉津」というバス停がある。運転士さんに確認すると、博物館はここではなく、その次の住宅前とのこと。放送が「北吉津住宅前」を告げてボタンを押す。
 バスを降りて、進行方向の緩い坂道を少し登ったところが、目指す博物館だった。
福山自動車時計博物館 入館料700円(インターネット優待)
博物館のボンネットバス つま恋塗色のまま展示  入口でインターネットの優待券ページのプリントを渡し、900円の入館料が700円になる。パンフレットとアンケート用紙が渡される。展示物は、時計と自動車だけでなく、オートバイや飛行機まであるではないか。
 ここは、さわっても写真を撮ってもいいですよという博物館。実物に触れることが出来るというのは、何よりその時代の質感を感じることが出来るのがうれしい。
 ひと通り見て回ったものの、館内にバスはない。バスは一般には公開されていないのだろうか。受付でバスは公開されていないのかとたずねると、この先の別棟に展示してあるという。
 いったん入口を出て、先ほどのバス通りの坂をもう少し登ったところに、バスの置いてあるガレージがあった。これを見るだけなら、入館料はいらないではないか。
 ところが、見ていると学芸員の方がやってきて、きちんと説明してくれる。そして「車内も見ますか」と、入口の鍵を開けてくれるではない。「エンジンも見てみましょうか」と、ボンネットまで開けてくれる。いやあ、入館料を払って見る人には、こんなに丁寧に対応してくれるとは知らなかった。「バスを見たい」といって来るお客が、まだそれほど多くないのかもしれない。
 8月に原宿で見かけた「つま恋」バスも、そのままの塗色で展示されていた。「写真を撮るのもウェブに載せるのも自由ですから、どんどん宣伝してくださいね」というのが学芸員さんのお言葉。それではと、外観や車内などいろいろと写真を撮らせていただいた。この「つま恋」塗色、しばらくは塗り替えずにこのままにしておくとのこと。
つま恋バスの車内
26.北吉津住宅前14:20→14:31福山駅前(中国バス)160円 福山22く・723 いすゞ/富士重工
雨の中やってきた中国バス  今日は岡山空港からの便を予約してある。せっかくだから、開業してまだ余り経っていない、福山からの直通バス「ももっちライナー」に乗っていこう。そのために、博物館滞在時間が1時間しか取れなかったのが悔やまれる。
 福山駅行きのバスは少し遅れてきた。「ももっちライナー」との乗り換え時間が短いので、ちょっと焦る。メトロ窓に中ドアが4枚折り戸という、よくありそうでも実はあまり見かけないタイプ。しかも、富士重工のちょっと古めの車両だ。
 いつしか雨が本降りになったので、傘をたたんで乗り込むには、広い4枚折り戸はうれしい。車内は10人程度の乗りと、行きに乗ったときよりは空いている。
 困ったのは、線路を越えて駅に近づいたら渋滞で停まってしまったこと。どうやら日曜午後の買い物客が駐車場にはいるのに行列を作っているようだ。それでも、駅前広場の手前が降車場だったので、真っ先に降りて横断歩道を渡る。
 「岡山空港方面、ありませんか」と声をかけていた「ももっちライナー」に滑り込みセーフ。乗客は、自分を含めて2人という高速バスに乗って、福山駅をあとにした。

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