第3日 〜2007.7.27(金)〜

奥津駅前→津駅

伊勢本街道・奥津宿
伊勢本街道・奥津宿 奥津駅前の元商店  バスは10時過ぎまでない。まだ時間があるので、郵便局まで歩いて行ってみる。その途中で、格子の残る古い家が何軒か建っているのがわかった。しかも、その家には「伊勢本街道」と書かれたのれんがかかっている。
 何でも、明治末まで宿場町として栄えた街並みの町おこしとして、家々が屋号を染め抜いたのれんをだしているのだとか。大宇陀のように古い街並みで売り出す、というところまではいっていないけれども、この残っている家々を守っていこうという意気込みを感じることができた。
 駅を出てまっすぐ行った交差点のところにあるお店も、またいい感じだった。今は扉が閉ざされていて、もう店はやっていないような雰囲気だが、かつてはここも旅籠だったのだろうか。二階の格子がとても美しい。
 最初は時間があるので、コミュニティバスでこの奥にある川上というところまで行って、その折り返し便に始発から乗っていこうと考えていた。
 でも、この街並みを見たら気が変わった。この街並みの狭隘路を走るコミュニティバスを写真に納めたくなった。午前中なので、逆光になってしまうのが残念。道が狭く、引きがとれないので、なかなかバスの側面を入れた構図がとれない。
 何度か行き来して、ようやく「坂本屋」ののれんがさがる家の斜め前から狙ってみることにした。やってきたのは、スクールバスの表示があるオレンジとクリームに塗り分けられたマイクロバスだった。
伊勢本街道を行く美杉コミュニティバス
16.奥津駅前10:13→10:29万世橋(津市美杉コミュニティバス)400円 三重22う・・66 日野
奥津駅前の美杉コミュニティバス 奥津駅前バス停  川上から戻ってくるバスに乗るため、駅前へ移動して待つ。やがて、一志病院の行き先をだした、あのマイクロバスがやってきた。
 いったん、駅の奥の広場まで行って回転して戻ってきた。ポールのところでやって来るバスをカメラを構えて左手をあげて乗車意志を伝えたつもりだったのだが、なんと停まらずに行ってしまった。
 あわてて手を振りながら走って追いかける。10mほど先でようやく停まってくれた。平日の昼間に乗る人はほとんどおらず、写真を撮りに来たヨソ者と思われてしまったようだ。
 「すみません。万世橋までお願いします」と言って乗り込む。バスは造り酒屋の脇を通って、いったん国道へ出る。少し先で左折して、名松線とともに雲出川に沿って走る県道を行く。
 広くても1.5車線といったところ。集落はあまりなく、何でバスがあるのか不思議なくらい。今でこそ津市の一部になっているが、かつては美杉村の村営バス。村内から一志町の一志病院までの路線として走っていたものが、津市コミュニティバスになって引き継がれているようだ。まあ、名松線を使おうにも本数が少なすぎるから、鉄道と平行路線でも利用者はあるのだろう。
 旧美杉村の中心だった、伊勢八知駅周辺に近づくと道路は片側1車線に広くなる。その少し先が、万世橋バス停だ。この周辺は、温泉ホテルやプールが点在する、美杉リゾートになっている。
奥津駅前の美杉コミュニティバス
昼食 シカゴ・フォー・リブス(火の谷高原ビール)
シカゴ・フォー・リブス 火の谷高原ビール  ここで降りたのは、美杉リゾートで造られている「火の谷高原ビール」を飲みたかったからだ。飲めるのは、斜面を少し上ったところにある、シカゴ・フォー・リブスというスペアリブをメインにするレストランとのこと。
 橋を渡り、案内に従って坂道を登っていく。ビールを飲むのに車で行くわけにはいかない。しかし、坂道の途中には駐車場が何カ所もある。
 ここも美杉リゾートの1施設ということで、近くには魚捕りが体験できる施設などもある。リゾート宿泊者は、巡回バスが利用できるようで、バスが着くと何人かの人が降りてくる。
 売店は開いているものの、レストランは11時開店とのこと。しばらく外のベンチで待つことにする。
 開店とともに数組がレストランに入る。意外にも、ビール目当ての客は自分だけらしい。おすすめ料理はとたずねると、リブコンボはいかがとのこと。それで、出てきたのがこのプレート(少しかじってありますが・・・)。なかなかのボリュームで、これ1つでビール3杯はいけちゃいました。
 自分としては、ヴァイツェンが好きなんだけれども、ここのビールはペールエールの方がおいしく感じた。重量感あるスペアリブに負けないビールだった。13時頃までゆっくり飲んで食べて、十分満足してレストランを後にする。
 かなり気持ちよくなった足で、坂道を下っていく。まだバスまでは時間があるので、川沿いの美杉リゾートの駐車場にある、無料送迎バス乗り場のベンチでしばしの休憩とした。
リブコンボ
17.万世橋13:58→14:20一志病院(津市美杉コミュニティバス)500円 三重22う・・66 日野
万世橋の美杉コミュニティバス 万世橋バス停  美杉リゾートでは、榊原温泉口駅までの無料送迎バスを運行している。宿泊客や温泉利用者が利用できるようなのだが、果たしてシカゴ・フォー・リブスの利用だけで乗れるのだろうか。
 今日はこの後、榊原温泉口駅まで出るので、かなり魅力に感じるものの、路線バスがあるのに無料送迎バスに乗ってしまうのは、ちょっと心が痛む。やはり、ここはがんばってお金を払ってバスに乗っていこう。
 突然踏切がなり出した。名松線の列車がやってくるようだ。せっかくだから写真を撮っていこう。橋から鉄橋をねらって1枚シャッターを切る。
 やってきたのは、先ほど乗ったマイクロバス。運転士さんから「どこへ行ってきました」と聞かれたので、火の谷高原ビールを飲みに行ってきたことを伝える。「ビールを飲むのなら、やっぱりバスでないとね」というと、車で行ったのでは飲めないものなと返してくれた。
 まっすぐトンネルがあるのだが、バスは脇道に入って立花橋、大野と寄っていく。竹原を過ぎると、旧美杉村域から旧白山町域にはいる。
 竹原からは三重交通の路線バスもあり、そちらは停留所があるのだが、こちらは家城の商店街まで旧白山町域にバス停はない。やがて左折して、狭い家城の商店街の中を走っていく。途中にある魚九前で乗っていた女性が降りていく。
 踏切を渡れば一志病院はすぐそこで、バスは病院前を左折して敷地内にある一志病院バス停に到着した。
名松線の列車が行く
美杉コミュニティバスに使われるスクールバス
美杉のスクールバス  このバスは、美杉村営バス時代から使われている。正面にある緑に三本杉のマークは、旧美杉村の村章だ。運行は三重交通に委託されているから、ナンバーは緑。
 しかしながら、スクールバスとして運行されているから、村営(市営)バスとして、一般乗客を乗せるために有償運送の許可を取っているようだ。
 素人考えでは、緑ナンバーなんだから、有償運送をしたって問題ないように思うのだが、やっぱりスクールバスという契約だといろいろあるのだろう。
 バスのボディには、それらの表記がいろいろと書かれている。未だに、美杉村営スクールバスの表記も残っているし、現在の津市というシールも貼ってある。
 その他、暗号のような「中三市交 第1号」などと、何を指しているのかわからないシールもある。
徒歩 一志病院 → 一志駅(見学)→ 家城[県道]バス停(約900m)
一志病院バス停 JR家城駅  美杉コミュニティバスは、病院敷地内の一志病院バス停。次に乗る白山コミュニティバスは、道路上の一志病院前バス停からの発車となる。次のバスまで1時間以上あるし、用もないのに病院のベンチに座ってバスを待つのも気がひける。
 まだ時間もあるし、家城駅を眺めながら次のバスの始発停留所、県道家城まで歩いていこう。
 名松線は、スタフ閉塞という方式で運転されている。スタフ閉塞もタブレット閉塞も、金属製の玉を革製のキャリアに入れて持ち運ぶという点は同じだ。
 タブレット閉塞では、閉塞器を操作して、玉を納めたり出したりして同一方向の列車を連続して運転できる。しかし、スタフ閉塞には閉塞器がないので、スタフを持った列車が帰ってこない限り次の列車は運転できない。つまり、必ず上り・下り・上り・・・と交互にしか運転できないのだ。
 家城駅は、名松線唯一の交換駅で、ここでスタフが交換される。
 入場券を買ってホームに入れば、スタフ置き場を始めスタフ閉塞のための設備があちこちに見える。
 スタフの交換がしやすいように、先頭車同士の位置を合わせて停められる、長さの違うホーム。ホームの一部を切り欠いた、構内踏切。かつてはどこのローカル線にもあった設備が、この駅に残っているのがなつかしかった。
 列車の来る時間でなかったのは残念だが、20分ほどホームを見学して満足する。駅員さんにお願いすると、使用済みの入場券をいただくことができた。
 駅を出れば、すぐそこに白山コミュニティバスが停まっている。しかし、ここから乗ることはできず、5分ほど歩いて家城[県道]バス停に到着した。
家城駅のタブレット置き場
家城駅入場券
18.家城[県道]15:38→16:06榊原温泉口駅(津市白山町コミュニティバス)250円 三重22き10−22 日野
家城駅前で待機中の白山コミュニティバス 家城(県道)バス停  白山コミュニティバスの町内循環線は、その名の通り榊原温泉口駅から家城地区をぐるっと循環する。しかしながら、1日1本だけ右回りで家城まで来て、そのまま左回りで折り返す便があるのだ。
 次に乗るのがまさにその便で、終点は家城[旧道]バス停。折り返し時間の30分を旧道と県道の間にある、家城駅の脇で休んでいたのだった。
 頼めばここから乗せてくれる可能性はあるけれども、「回送」の表示のバスにお願いするのは失礼だろう。5分ほど歩いた本来のバス停で待っていると、やがて「榊原温泉口駅」の表示を出して先ほどのバスがやってきた。
 家城の商店街の魚九前バス停で数人が乗ってくる。踏切を渡って、先ほど通った一志病院前バス停を通る。病院前から乗ってくる人はいなかった。
 乗っていた乗客も、ところどころで降りていく。なかなか途中から乗ってくる人はいない。途中で、グリーンタウン榊原という高台の住宅地に寄り道するが、乗ってくる人はいなかった。
 国道を左折してまっすぐ行けば、近鉄の線路が見えてきた。そこがもう榊原温泉口駅で、線路に沿って坂道を登れば駅前広場につながっていた。タクシーや温泉旅館の送迎バスが何台もお客を待っていた。
家城の白山コミュニティバス
19.榊原温泉口駅16:53→18:05津駅(三重交通)920円 三重22き・457 いすゞ/IK COACH
榊原温泉口駅の三重交通  発車時間数分前に、折り返しとなるバスがやってきた。津駅へ行くには久居駅で乗り継ぎになると思っていたのだが、バスの行き先表示は津駅。乗り換えなしで津駅まで行けるようだ。
 定刻を3分ほど過ぎて駅前を発車。坂を下ると、右折して近鉄の下をくぐる。ところが、その道がとても狭い。細長い楕円形の線路下のトンネルを抜けていく。
 そこから先も狭い道の上り坂が続く。山の中を登っていくだけで、いったいどこが温泉なのだろうと思ってしまう。ようやく登り切ってしばらく行くと田園地帯。温泉街ではなかった。
 榊原車庫前から少し行ったところが榊原温泉だった。榊原温泉口という駅名の通り、駅は本当に温泉の入口で、温泉まではかなりの距離があった。
 駅前から乗ったのは自分だけだったが、榊原車庫前を過ぎてからはぼちぼちと乗ってくる人がいる。久居駅で降りる人がいたものの、乗客がゼロになったわけではない。
 久居駅から津駅までは、鉄道並行路線だけれども、鉄道よりもきめ細かい停留所があるので、それなりに乗降がある。榊原温泉口から1時間以上かかって、終着の津駅に到着した。

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